クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2012年7月-9月(No.2) > 特別企画 > 「第94回品質管理シンポジウム」ルポ

「第94回品質管理シンポジウム」ルポ 持続可能な社会構築に向けた品質経営 ―エコロジー(環境)とエコノミー(経済)の両立を目指して― 飯塚裕保 積水化学工業(株) 生産力革新センター 品質グループ 部長

はじめに

熱心に講演に聴き入る参加者たち
熱心に講演に聴き入る参加者たち
オリエンテーションでテーマについて話す大久保組織委員
オリエンテーションでテーマについて話す大久保組織委員

2012年6月7日(木)~9日(土)の3日間、箱根・ホテル小涌園において、第94回品質管理シンポジウム(94QCS)が開催された。今回のシンポジウムのテーマは「持続可能な社会構築に向けた品質経営-エコロジー(環境)とエコノミー(経済)の両立を目指して-」である。品質・環境にかかわる産学さまざまな立場から約140名もの識者が集まり、テーマに沿った講演と、深夜まで及ぶ活発な意見交換がなされた。プログラムは(表1)のとおりである。

今回主担当の大久保尚武組織委員(積水化学工業(株) 取締役相談役)が、オリエンテーションで、環境と経営の両立について想いを述べた。氏は現在も、(社)日本経済団体連合会(経団連)自然保護協議会の会長を務めている。優れた品質経営のために必要な総合的・多面的な環境配慮として、次の3点を本シンポジウムの討議の視点にあげた。

  1. 製品が社会の中で使用される際に、環境にかかる負荷はできるだけ小さくしたい。環境をよくする製品ならなおよい。
  2. 使用される原材料は、できるだけ再生可能な原材料にしたい。エネルギーも同様で、自然エネルギーの比率を高めることが望ましい。
  3. 製造プロセスでの環境配慮は大切だ。省エネ、省資源に努めるとともに廃棄物を少なくし、環境を汚さないようにしたい。

表1 第94回品質管理シンポジウム プログラム

月/日 科目 講演者
6/7
(木)
<特別講演1>
環境革命の時代
-自然との応答関係を感性価値とした日本のモノづくりに学ぶ-

※セバァン・カリス・スズキ DVD放映
涌井 史郎
東京都市大学 環境情報学部 教授
6/8
(金)
<オリエンテーション>
持続可能な社会構築に向けた品質経営
-エコロジー(環境)とエコノミー(経済)の両立を目指して-
大久保 尚武
積水化学工業(株) 取締役相談役 94QCS主担当組織委員
<特別講演2>
テクロジーの新潮流を創る
-求められる新しいものつくりと暮らし方のか・た・ち-
石田 秀輝
東北大学大学院 環境科学研究科 教授
<講演1>
日産自動車の環境に対する取り組みと電気自動車リーフについて
富田 公夫
日産自動車(株) フェロー
<講演2>
生物多様性からの持続可能な商品と経営
更家 悠介
サラヤ(株) 代表取締役社長
<講演3>
日東電工における環境に配慮したものつくり
相澤 馨
日東電工(株) 代表取締役 専務執行役員
グループ討論  
6/9
(土)
グループ討論報告 司会:大久保 尚武
報告:各班リーダー(討論)
ファシリテーター:長田 洋
総合討論
第94回品質管理シンポジウムまとめ 大久保 尚武
94QCS主担当組織委員
第95回品質管理シンポジウム案内 山内 康仁
アイシン精機(株) 相談役
95QCS主担当組織委員

リオの伝説のスピーチ

シンポジウム初日、特別講演の冒頭は、1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された国際連合(国連)初の環境サミットでの“リオの伝説のスピーチ”の上映で幕を開けた。これは、12歳の少女、セバァン・カリス・スズキが各国を代表する指導者を前に語ったもので、特に次のメッセージが心に響いた。

「あなたたち大人は私たち子供に、世の中での振る舞いを教えてくれます。

  • 争いをしないこと
  • 話し合いで解決すること
  • 他人を尊重すること
  • 散らかしたら自分で片付けること
  • ほかの生き物をむやみに傷つけないこと
  • 分かちあうこと
  • 欲張らないこと

だったら大人たちはなぜ、私たちにするな!ということをしつづけているのですか?」

<特別講演1>
環境革命の時代-自然との応答関係を感性価値とした日本のモノづくりに学ぶ- 涌井 史郎 氏(東京都市大学)

涌井 史郎 氏
涌井 史郎 氏

涌井氏はTBS系列の情報番組「サンデーモーニング」のコメンテーターでもあり、ご存知の方も多いと思う。切り口が斬新で情報豊かな氏のプレゼンテーションは迫力があり、圧倒された。「技術は政治に影響を与えられるが、政治は技術に影響を与えられない」「安全と安心は別物、科学技術の安全は、そう切り分けて考えるべき」という氏の主張のもとに、アメリカ市場原理主義が9.11注1に攻撃を受けたこと、また科学技術による自然制御が3.11注2の日本の原発事故で否定された事例が引かれ、「多様性の否定が事態を重篤化させた」という考察があった。

エコロジカルフットプリントという考え方では、人1人が地球に与える環境負荷を、その資源再生産や浄化にかかる面積に換算する。現状ではアメリカ人1人当りには9.7ヘクタール、日本人には4.8ヘクタールが必要だそうだ。仮に世界中の人が日本人並みの生活レベルを維持するなら、地球が2.3個分必要となる。

一方で、産業革命の延長発想はもう限界を超えている。また生物多様性に関しても、1万年前までは、生物種は100年に1種類の絶滅だったが、現在は、1日に100種が絶滅しているという。恐ろしくもリアルな地球の現実に、どんどん引き込まれていく。「将来の世代から、(未来の地球環境を)奪わない」ためには、現状分析をベースに未来を演繹(えんえき)的に考える「フォアキャスト思考」ではなく、あらかじめ限界から逆算する「バックキャスト発想」が必要だと氏は提言する。

南北対立から不可能と思われたCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)の「名古屋議定書」「愛知目標」の採択や、MOP5(カルタヘナ議定書 第5回締約国会議)の開催を実現した日本。古より自然の脅威(火山・水害・津波)に、対抗するよりも「いなす」術を見出した日本に、未来へのヒントが多いと氏は説く。日本人は本来、自然への謙虚な心をもっている。日本原風景の中にこそ、「利害結合型社会(ゲマインシャフト)」から「地縁結合型社会(ゲゼルシャフト)」の変換させるための未来への解が、見出せるのではないかと涌井氏はいう。

注1 2001年9月11日、アメリカで航空機を使った4件の同時多発テロ事件が発生。
注2 2011年3月11日、東日本大震災が発生。東北地方太平洋沖地震によってもたらされたこの一連の災害に、東京電力・福島第一原子力発電所の事故も含まれる。

<特別講演2>
テクノロジーの新潮流を創る-求められる新しいものつくりと暮らしのか・た・ち- 石田 秀輝 氏(東北大学大学院)

石田 秀輝 氏
石田 秀輝 氏

石田氏は、開発と環境の両立が不可能と感じたジレンマから転職されたキャリアをもつ。その後一貫して、物質文明の豊かさからの脱却こそが資源のない日本の使命と信じて、研究を進めてきた。初日の涌井氏の講演を受け、「人の際限ない欲望」と「循環社会」が対立しないものづくりも、自然の中、ネイチャーテクノロジーにあると石田氏は述べた。

「エコ技術」が進み、「生活者の環境意識」も超一流の日本だが、エコテクノロジー開発が加速するほど環境劣化が加速する。これを「エコジレンマ」と定義し、産業はテクノロジーを供給するだけではいけない、エコ商材を免罪符にすることなく、ライフスタイルにも責任をもつことが求められると、氏は説く。その手法の1つが品質管理であってほしい。エコ商材は部分最適にすぎず、これがエコジレンマの元凶であるなら、われわれには全体最適を図れるような、良質な「箍(たが)」が必要であろう。

江戸時代には戻れない、という生活価値の不可逆性を認めた上で、2030年の厳しい環境制約をバックキャスト発想して、地球のことを考える循環型社会、人間の欲望を満足するものづくり双方が満たされた製品を開発すればよい。シーズやニーズのマーケティングによる部分最適だけでは立ち行かない今こそ、「制約のある創造」が必要である。石田氏はフィールドワークや自然の中に、ヒントを見出そうとする。 

たとえば、ヤママユガという蛾から発見されたヤママリンという休眠物資は、副作用のない抗がん剤などへの応用が期待されている。また、江戸時代、カラクリの大発明である「弓引き童子」のテクノロジーなどにふれ、当時は貧しくとも町は清潔で子供の笑顔にあふれ、日常品は芸術品の域に達していたと述べた。これこそがまさに、大量生産・大量消費には向かわない「自然と決別しない産業革命」であり、環境制約はポジティブファクターになりうる、と結論づけた。

講演後、参加者より3.11以前はエネルギー問題に前向きな風潮があったが、事後で印象は変わったかとの問いがあった。石田氏は「2030年が20年早くやってきた。震災を超えることが、2030年課題への答えになるのではないか」と答えていた。

先進諸国の変わらぬフォアキャスト発想に、どうバックキャスト視点を入れるか。日本が「国」として新しい姿をアジアに示し、「憧れの国ジパングをつくろう」と締め括った。

<講演1>
日産自動車の環境に対する取り組みと電気自動車リーフについて 富田 公夫 氏(日産自動車(株))

富田 公夫 氏
富田 公夫 氏

冒頭、若手社員が自主制作したという「電気自動車リーフ」のデモ映像が会場に流れた。家の中にある車が犬と同居、スタイリッシュな映像とともに環境配慮のイメージがふくらむ。ここでいきなりクイズが出題された――「リーフは実は日本の奥様方に好評です。なぜでしょうか?」。答えは、「ガソリンを入れるためだけに化粧をして、車を出す必要がなくなったから」。思いがけない回答に、会場が一瞬にして和んだ。実際、リーフの販売台数はすでに世界累計で3万台を突破している。

地球の温暖化対策と産油国事情で変動する石油依存からの脱却、および2050年に自動車排出CO2の90パーセント削減が必要な実状に対し、日産は従来型技術でのエンジン/トランスミッションの究極の改善と、電気自動車という新技術確立の両方を並行で進めている。たとえば電気自動車では、車体がほぼ浸水していても走れるように、「信頼性・機能性評価」が十分になされている。今後さらに、世界的な規制により、2020年には全車平均燃費を、マーチ(日産の小型車代表車種)並みにする必要がある。これらを達成するため、NGP2016(ニッサン・グリーンプログラム2016)を展開中だという。

また、地球に依存する資源の管理のため、EV用バッテリーの再生や、自動車用途に使用後のバッテリーを定置型のエネルギー貯蔵用で再使用し、最後は再資源化するなどといった、「再利用」「再製品化」「再販売」「リサイクル」の4Rビジネスも構想している。 

リーフの紹介の中では、単なる電気自動車の提供だけではなく、高効率の交通機関とそのサービスをネットワークで最適化する「モビリティースマート」の概念や、リーフと再生可能エネルギー、コミュニティを結びつけた「スマートコミュニティ構築」の実験事例が報告された。富田氏の語り口は楽しく、かつ実務者の説得力があった。

<講演2>
生物多様性からの持続可能な商品と経営 更家 悠介 氏(サラヤ(株))

更家 悠介 氏
更家 悠介 氏

サラヤは過去、国産洗剤を開発したものの、冬場は売上が大きく落ち込んだという。そののち、インフルエンザなど疫病の消毒用の製品に転換し、急成長した。幼少期、プッシュ式の容器に入ったサラヤの消毒液で手を洗った記憶のある方も多いのではないだろうか。

「品質はサプライヤーやお客様と創造していく時代である」と、更家氏はいう。ヤシノミ(ココヤシ)からとるパーム油を原料とした洗剤を製造販売するサラヤは、持続可能なビジネスを考えてきた。時代変化の中でどう順応するかで、「未来品質」を考えていく。こうした発想は、涌井氏や石田氏の「バックキャスティング」に近いものを感じた。

転機となったのは、2004年8月1日に放映されたテレビ番組「素敵な宇宙船地球号」(テレビ朝日系列)であったという。更家氏は、ココヤシのプランテーション拡大によりボルネオのジャングルが耕地化し、ゾウやオラウータンといった野生動物の生息域を狭めていることに、この番組ではじめて気づいたのである。

そこで、同年即座にRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に参加し、この問題に前向きに取り組んだ。その結果、ボルネオ全島でヤシノミ栽培面積が拡大する中でも、河川に沿った森林を復元して緑の回廊を形成させ、ゾウやオランウータンの生息域を確保することにつながった。また、ヤシノミ洗剤の売上の1パーセントをボルネオ保全基金に寄付する仕掛けをつくるなど、自然の恵みを原料とするビジネスが持続可能となるよう取り組んでいる。その真摯な活動は、当初はサラヤに対しネガティブキャンペーンを行っていた一部NPOを動かし、ついにはBBFC(ボルネオ生物多様性保全・生態系保全プログラム)において喝采を浴びるなど、現地の理解を得て、浸透している。

このほか、環境保全にかかわる精力的な活動が紹介されたが、何よりも感銘を受けたのは、現地プランテーションの経営者や急進的なNPOとの間に相当な軋轢があったことを、何気ない様子でさらりと語る、氏の底知れない熱いパワーである。

<講演3>
日東電工における環境に配慮したものつくり 相澤 馨 氏(日東電工(株))

相澤 馨 氏
相澤 馨 氏

日東電工の経営理念は「新しい創造の価値」にあり、行動基準の「最高な品質とサービス」を基盤に、グローバルニッチトップを掲げている。創立100周年を迎える2019年に向け、「100年企業ビジョンの達成」を打ち出し、新たな環境規制への対応と、安心なスマートファクトリ-をめざしている。また昨今、特に欧州を中心に規制が厳しい化学物質管理を例に、現物が今どこにあるか、リアルタイムに「法規制」「原材料管理」「製品数量」をトータルマネジメントする、NCM(日東電工化学物質管理)という仕組みの紹介があった。

つづいて、マテリアルフローコスト会計(MFCA)の運用説明があった。MFCAは、廃棄物に焦点を当てて、金額で「廃棄物内に眠る利益(宝の山)」を見える化する仕掛けである。従来の産業廃棄物原価管理を一元的な「X線写真」にたとえるなら、MFCAは各工程の現場にデータがある「CTスキャン」のような立体像にたとえられる。日東電工では1万3,500アイテムの中から、特にMFCA運用に合致しやすい製品で実績をあげている。これらの活動により、競争力向上といった内部効果に加え、環境負荷の低減(炭酸ガス・廃棄物)という外部効果も得られ、品質と環境対応が密接に関係している。

講演後には、MFCAを現場に定着させる秘訣について質問があった。相澤氏は、成功事例をあげながら、トップダウンによるあとに引けないスポンサーシップと、市場の成長性と材料品質を鑑みた「製造現場が喜ぶ」製品のピックアップの両面の必要性を述べた。また、押し付けるのではなく、現場との一体感を醸成し、それにもとづく活動にすることが大切と回答した。

グループ討論

2日目の夕食は立食パーティ形式で。和やかな雰囲気で交歓が行われた
2日目の夕食は立食パーティ形式で。
和やかな雰囲気で交歓が行われた

すべての講演が終了した2日目の夜から、グループ討論に入った。班ごとに事前に設定されていたテーマ(表2)について、深夜まで活発な意見交換がなされた。特に今回のシンポジウムでは、環境関連の専門家が多く集まったことで、これまでとは異なる雰囲気があり、斬新な切り口でのアプローチが多く、参加者も楽しまれたように思う。

各班のテーマとリーダー、論点、アウトプットとなる提言は以下であった。

表2 グループ討論

テーマとリーダー
第1班 持続可能な社会のための品質経営
大藤 正(玉川大学)/道添 順一((株)ニチレイプロサーヴ)
第2班 環境に配慮した新たな開発・設計
猪原 正守(大阪電気通信大学)/宗像 令夫((株)リコー)
第3班 環境負荷を低減する生産技術・製造プロセス
西 敏明(岡山商科大学)/藤井 暢純(サンデン(株))
第4班 グリーンサプライチェーンマネジメント
中條 武志(中央大学)/新倉 健一(前田建設工業(株))
第5班 環境ブランド価値創造
今野 勤(神戸学院大学)/古谷 健夫(トヨタ自動車(株))
第6班 将来のビジョン達成を考えられる人材の育成
奥原 正夫(諏訪東京理科大学)/谷川 正人(コーセル(株))

第1班:持続可能な社会のための品質経営

■ディスカッションの切り口

  • エコロジー(環境)とエコノミー(経済)の両立を実現する品質経営のあるべき姿
  • 実現に向けて、現在重視すべき阻害要因
  • 先進事例に学ぶことを含めて、経営者が今すぐ推進すべき具体的取組み

■提言

  1. 「環境」という視点を取り込んでの魅力的な品質経営をめざす
    →ステークホルダーの中に「地球」を入れる
  2. 経営者は、ステークホルダーに向け自分の言葉で語るとともに行動し、変革の推進者になる
    →経営者の環境経営に対するコミットメント

第2班:環境に配慮した新たな開発・設計

■ディスカッションの切り口

  • 環境に配慮した競争力構築のため、開発・設計が果たすこと、あるべき姿
  • あるべき姿を実現するための課題と問題
  • 問題を克服するための手段

■提言

  1. 開発における環境目標の設定は、われわれマネージャーの仕事であると自覚する
  2. 開発における環境へのこだわりは「正義」であるといいつづける(子供に青空を残してあげたい)
  3. 設計開発がイノベーションの起点となって環境価値を創出する

第3班:環境負荷を低減する生産技術・製造プロセス

■ディスカッションの切り口

  • 生産技術・製造プロセスで低環境負荷をめざす企業の、あるべきマネジメントシステム
  • 実現に向けた課題
  • 課題を克服するために、必要な取組み

■提言

  1. 徹底した日常管理→環境負荷データベース→現場主義の大切さ
  2. MFCA、からくり改善
  3. 日本的(江戸)の自己完結ものづくりの提唱
    →エコものづくり認定制度 <ものづくりコミュニティの共生>

第4班:グリーンサプライチェーンマネジメント

■ディスカッションの切り口

  • 環境と経済の両立を図るサプライチェーンのめざす姿・必要要件
  • めざす姿・必要要件の実現に向けた企業の状況と課題
  • 課題を克服するために必要な取組み

■提言

  • 調達を超えたグリーンパートナーシップを築く
    →業界団体やバリューチェーン一体で、環境とコスト全体最適に向けた規制・支援づくりに取り組む

第5班:環境ブランド価値創造

■ディスカッションの切り口

  • 環境ブランド価値を創造する企業と社会との関係
  • 新しい環境ブランド価値を創造し、製品・サービスや企業に盛り込む方法
  • 新しい環境ブランド価値の社会への発信の仕方

■提言

  1. 企業自ら行動する(行政をあてにしない)
  2. 環境への取組み(商品・サービス)が価値を決める
  3. 経営理念にもとづいた活動を通して、環境ブランド価値は高まる

第6班:将来のビジョン達成を考えられる人材の育成

■ディスカッションの切り口

  • 将来のビジョン達成を考えられる人材に要求される力量
  • 人材育成における問題・課題とその克服
  • 組織として将来のビジョン達成を考えられる人材を持続的に育成する仕組み

■提言

  1. ビジョン策定人材の要件
    (1)自然観 (2)俯瞰力 (3)システムデザイン力 (4)ポジティブ思考力
  2. 将来のビジョンを策定するためには、必要な機能が何なのか、自信をもって取捨選択する

総合討論とまとめ

総合討論では、各班リーダーと参加者の間で、活発な質疑応答が交わされた
総合討論では、各班リーダーと参加者の間で、
活発な質疑応答が交わされた

シンポジウム最終日には、各班リーダーが壇上に立ち、グループ討論の成果を報告した。つづくパネルディスカッションでは、ファシリテーター役、長田洋氏(東京工業大学)のテンポよい進行や切り返しで、忌憚のない意見が飛び交い、盛り上りをみせた。

最後に、第94回品質管理シンポジウム主担当組織委員の大久保氏から、各班議論や総合討議を鑑みた上で、提言が披露された(表3)

表3 第94回品質管理シンポジウムからの提言

  1. 新しい視点の品質経営
    「顧客」のニーズを満たす製品・サービスの提供だけでなく、「生活者」「ライフスタイル」「コミュニティ」および「地球」のことを考えた持続可能な社会システム構築に向け、新しい視点の品質経営を実践します。
  2. 人の変革
    エコロジー(環境)とエコノミー(経済)を両立させる将来の新しい品質経営に向け、ビジョンを描き、“今”を考え、変革する勇気ある行動がとれるイノベーション人材を育成します。
  3. 日本モデルの世界発信
    われわれ「産業界」「大学」が核となり、日本ならではの“環境と共生したものつくりモデル”を確立し、それを世界に向けて発信します(特に途上国)。

また、併せて大久保氏は、今回の成果を所感という形で次のように述べた。

  1. 環境と品質経営のコラボレーションの重要さという点で、まったく新しい次元の議論ができた。かなり具体的な活動まで踏み込める可能性が出てきた。
  2. (地球規模で考えるためには)途上国と先進国の対立構造ではなく、途上国の意見を十分に聞いて解決を探る「日本特有の調和や協調を大切にした問題解決プロセス」が有効な手段であると考える。
  3. 環境と共生してきた「日本伝統のモノづくり」をベースに、新しい革新モデルを産学一体でつくりあげれば、世界に発信できると思う。

おわりに

本シンポジウムに遅れること2週間、前述の伝説的スピーチの地、リオデジャネイロで「リオ+20(国連持続可能な開発会議)」が開催され、日本から玄葉光一郎外相が出席した。過去最大規模となる191ヵ国、4万6,000人(いずれも国連発表)の参加を得て、成果文書「我々が望む未来」の採択をもって閉幕した。この内容や賛否については、このルポの趣旨と異なるので割愛するが、途上国の先進国への不信感を払拭し、具体性をもった行動指標とは、残念ながらいいがたい面が多い。

日本が再生可能エネルギーへの転換、生態系を維持しながらの農業拡大などを実証し、「グリーン経済」で発展できることを途上国に示す意味でも、また先進国としての責任を果たす意味でも、石田氏の提言にあった「憧れの国ジパング」をわれわれがまず実践し、それを世界に発信していく義務を担っているのだろう。
 

◎「第95回品質管理シンポジウム」は、2012年12月6日(木)~8日(土)に開催されました。
  テーマ:企業が成長するための新商品創造 ~心ときめく、ワクワクした商品の継続的な提供~
  テーマ趣旨については、本ホームページ掲載の連動特別企画、またはルポをご覧ください。
 

◎「品質管理シンポジウム」の最新の開催情報は品質管理シンポジウム専用サイトをご覧ください。


 

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