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HOME > 2012年7月-9月(No.2) > 連載 > 日本品質奨励賞への道(羽生田製作所) Part1

日本品質奨励賞への道 第2回 羽生田製作所 Part1 インタビュー 全員参加で挑んだ「魂を込めたものづくり」 TQMは事業継承の有効なツール (株)羽生田製作所 代表取締役 窪田 和司氏

暖房器具、文房具、学校体育用具――。設立間もないころの羽生田製作所が手がけていた製品の3本柱である。脈絡がないように見えるこれらの製品づくりの順序には明快なねらいがあった。それぞれの製品が季節性を帯びているということだ。暖房器具は冬場の必需品、文房具は春の新学期の主力品、学校体育用具は運動会が盛んな秋の稼ぎ頭である。

今日では、キッチン関連機器や医療・介護機器などが加わり、季節に左右されない製品構成を保っている。いずれも、自社ブランドでなく、顧客の要望に応じて設計・開発から調達、製造、倉庫管理まで行う一貫生産体制を整えているのが同社の強みだ。その過程で育まれた、ものづくりに対する歴代経営者の信念は「2011年度日本品質奨励賞 TQM奨励賞」に結実。活動の陣頭指揮を執った窪田和司社長に、その思いを聞いた。

QCサークルストリートで成果を披露

―広々とした工場敷地内の本社社屋に向き合う形でご自宅を構えられているのにおどろきました。まさに「職住一致」の実践ですね。

窪田氏(以下略):創業した先々代社長の祖父の代から住んでいるので、さほど違和感はありません。私が2004年に入社した時には「最初にカギを開け、最後にカギをかけるのがお前の仕事だ」と先代社長の父からいわれました。敷地内に住んでいることの利点ですね。

距離的な面では、各工場の配置や工場内のレイアウトなどには、ものの流れが配慮されています。「運搬は利益を生まない」という先々代の考えによるもので、創業期からほとんど変えていません。

―運搬のムダに着目されるあたり、品質管理に対する改善の取組みは脈々と受け継がれているようですね。

先代が社長を務めていた2001年にISO 9001、2006年にISO 14001の認証を取得しました。ところが、どちらもトップダウンの色合いが濃いため、なかなか自主的な活動成果を出しにくい。そこで、先代は2007年にTQMを導入し、2009年からQCサークル活動を本格的にはじめました。

―TQM奨励賞への挑戦は窪田和司社長の就任と同時にスタートしています。活動を進めていく上で、どんな点に気を遣われましたか。

挑戦しようとした背景には、旧来のように1人ひとりの経験やカンやコツが通用しなくなってきたという経営環境の大きな変化があります。そこで、これまでのTQM活動からさらにステップアップするための手立てとして、文字どおり全員参加で取り組みました。暖房器具などで深い関係があり、2010年度のデミング賞を受賞されたコロナ様の指導や助言もいただきました。実際の活動では、何もかも力任せで一気に進めてしまうのではなく、徐々に取り入れることに心を砕きました。往々にして、いきなりでは拒否反応が起きるからです。

―TQM奨励賞をめぐる活動を通じた社員の意識づくりでは、どのような工夫をされましたか。

本社の事務所と工場とを結ぶ通路を「QCサークルストリート」と名づけて、日ごろの活動や改善提案の成果を互いに確認できる場としました。活動の見える化の一環です。サークル数は現在13、基本的に職場単位の4~12人程度で1サークルです。全員参加ですから、社員はもちろん、パートさんや派遣社員さんも加わります。

通路を挟んで片側の壁面は各サークルの掲示板、反対側の壁面は小さな改善提案「グッジョブシート」の紹介コーナーになっています。提案内容は安全対策、品質向上、生産性向上など、何でもOK。とくに優秀と認められるものについて、私の独断ですがMVG(Most Valuable Good-job)を毎月1~5件、選んでいます。活動への意欲を高めるのが目的ですから、効果金額は必ずしも高くなくてもよいと思っています。

これにともなって、これまで年1回まとめて行っていた改善提案表彰を月1回に改めました。こまめに行うことで気持ちも高まるし、全体朝礼の際に皆の前で称えるので、活動の見える化にもつながるからです。

こうしたことが功を奏したのか、現在、80パーセントを超える社員が品質管理検定(QC検定)2~4級を取得しています。QC検定の効用は、一種の「共通言語」で話せることにあります。そして、1つずつ級を上げていくことが励みになります。

しかし、大切なのは、取得することではなく、挑戦することだと思います。そういう思いをサークル活動に生かしていけば、総体として大きな力になるはずです。

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