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HOME > 2012年7月-9月(No.2) > スペシャルインタビュー > 本田技研工業(株)・伊東孝紳氏

変革へのチャレンジで、夢あるものづくりを ホンダ技研工業(株)代表取締役 社長執行役員 伊東孝紳氏

常に新しさを求めよ―ホンダイズムの伝承と発展へ

―そもそも、なぜホンダという会社に入社されたのでしょう。

コレクションホール展示
ツインリンクもてぎにあるコレクションホールでは、
ホンダの歴史を辿ることができる
(以下、同コレクションホール展示)

伊東氏(以下略):もともとバイクが大好きでした。私が就職する1978年には、すでにホンダはバイクで世界トップの会社でした。それに、四輪自動車も若い頃から大好きでした。自動車メーカーに就職する人間は誰でもそうでしょうが、とにかく「四輪」「二輪」「走る」に目がなくて、私にとってのキーワードでした。

ただ、大学、大学院では航空学を学んでいました。就職活動のために上京した時に偶然「ここがあのホンダか」という思いでホンダを訪ねる機会があり、担当の方に話を聞いたら「ウチでも飛行機をつくるかもしれません」といわれたのです。それで俄然、私の好奇心がかきたてられました。

入社してみると航空機の話は何も具体性がなく、少し落胆した記憶があります。しかし、自動車開発部門に配属され、毎日を過ごしていると、おもしろい会社だということがわかってきました。皆で集まってワイワイガヤガヤ意見を交わし、新しいクルマを開発していく。その雰囲気がとてもよかった。今までこうしてホンダでやってこられたのは、こうした雰囲気があったからこそ、と思います。
 

―ホンダといえば創業者である宗一郎氏の「イズム」が今も輝きを失っていません。たとえば「自由とは本当は厳しいものなのだ」とのメッセージもありましたね。こうしたDNAともいうべきホンダスピリッツを今後、どう伝えていきますか。

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「自由とは本当は厳しいもの」をいい換えれば、自由を履き違えるなよ、といった意味になるのでしょう。入社した当時の若かった自分は、そこまでは理解できていなかったのかもしれませんね。ただ、「今までになかった新しいものをつくり出さなきゃ」という気持ちはいつもありました。私はそれもまたホンダイズムだと思います。

私にとって一番大切なことは、こういったDNAをいかにして若い社員、中核社員に伝え、継承していくか。会社がどんどん大きくなると皆、仕事をルーティンでこなすようになっていきます。もちろん、ルーティン作業にも大切な面があることは否定しませんが、それがすべてではありません。いつもやっていることをいつもと同じようにやるだけで満足してはいけないのです。お客様にどれだけ新しい価値やおもしろさ、喜びを提供しつづけられるか――ホンダの使命はそこにあります。ルーティン作業からは新しさが決して生まれないことを、全社員に自覚し認識してもらわなければなりません。これが私のもっとも大きな仕事かもしれません。
 

―ただ、時代が変われば日本人も変わっていきます。とくに若い世代の人たちとはギャップを感じることもあろうかと思いますが。

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それはどうでしょう。今の若い人たちと自分の若い頃を比べても、私自身はさほど大きな変化を感じていません。今も昔も、若い人は新しいことに意欲的です。エネルギーがあり、鮮度の高い感受性をもっています。形にとらわれないフレッシュな感覚とでもいいましょうか。時代は変わっても、そこに大きな変化はないと思います。ストレートにいいたいことをいう、怖いもの知らずの側面も備えています。

気になるのは、若い世代より上、中間層かもしれません。団塊の世代の次の人たちですね。団塊世代の人たちは、苦しい時代の中で何とか「これを乗り越えよう」とがんばってきた経緯がありますから、簡単にはくじけません。そのあとの世代は、日本が高度成長の局面に入り、強さを増す日本経済や企業の巨大化の時流に乗ってきた人たちといえます。私自身もそうで、環境に安住してきた面は否定できません。特別に工夫しなくても、あるいは深く考えずとも、成長路線に乗れた時代だったのです。

しかし、この10年で時代は大きく変わりました。中間層が変革に対して果敢にチャレンジする意識をもたないと、これからの時代、企業の活力が生まれてきません。もちろん、中間層にかぎったことではありません。若い人たちも、自分が正しいと思ったら、どんどん意見をいってほしい。そして、中堅以上の人たちは、若い人たちがモノ申せる環境づくりを進めてほしい。それぞれの責任はそういうところにもあります。
 

―新しい時代に合わせたチャレンジが必要ということですね。

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日本は常々、「何かやるんだ」「新しいことを起こすんだ」と、ずっとまい進してきましたし、かつては自然にそれができる経済環境や景気動向だったといえます。企業や市場経済にある程度の余裕があれば、何らかの動きにつながっていきます。日本が強かった時代、高度経済成長の時代はまさしくそうでした。しかし、これからも同じペースで物事を進められると考えていては、日本は世界から取り残され、忘れ去られる運命にあるのかもしれません。今こそ新しいことにチャレンジしなければ、どんな企業も、ひいては日本経済も立ち行かなくなってしまいます。

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