クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2012年10月-12月(No.3) > 連載 > 日本品質奨励賞への道(アイシン・エィ・ダブリュ) Part1

日本品質奨励賞への道 第3回 アイシン・エィ・ダブリュ 生産技術本部 従業員自らがさらなる向上めざす風土をつくる その気にさせる工夫が導いた「勤勉サイクル」 アイシング・エィ・ダブリュ(株)参与 生産技術本部副部長 熱処理生技部 主席研究員 大林 巧治氏

オートマチックトランスミッション(AT)15パーセント、カーナビゲーションシステム12パーセントを超える――。アイシン・エィ・ダブリュ(株)が手がける主力製品の世界シェアは、同社の実力を雄弁に物語る。ATは国内外47社、カーナビは同23社に採用されるなど、いずれも不動の首座を占める。

同社は1969年の設立以来「品質至上」の経営理念を掲げ、統計的品質管理手法の活用やQCサークル活動などを積極的に導入。1977年にデミング賞実施賞、1982年と1991年には日本品質管理賞(2012年からデミング賞大賞と改称)を受賞するなど、同社の実践的なTQM活動には定評がある。多くの製造業がそうであるように、同社もまた、生産技術部門がものづくりの中核を担う。「量産と品質」をともに高い水準で維持するために同部門が取り組んだTQMは、「2011年度日本品質奨励賞 品質革新賞」に実を結んだ。活動を支えたのは、独自の「勤勉サイクル」である。早渕正宏専務とともに活動の推進役を務めた大林巧治参与にその要点などを聞いた。

つくりやすい図面を生技が主体的に提案

―貴社は設立以来、「品質至上」を経営理念に掲げられています。今回の受賞に向けた活動では、それをどのように意識されたのでしょうか。

大林氏(以下略):当社のヒット製品である6速ATは部品点数が500超、工程数が4,000以上あります。保証すべき品質特性は1万を超えます。この特性のどれか1つでも落したら、否応なく不良品の烙印を押されます。

だから、必然的に、ものづくりは厳しくなる。そのため、今回の受賞に至った活動をはじめる前は、生産準備が終わったあとに見つかったムダ、ロスの改善に追われていました。原価目標が量産ギリギリに達成されることもままありましたし、納期に間に合わせるために徹夜を余儀なくされたこともあります。

こうした中、2006年に、先行きの増産を見据えたQCDESの同時実現には、当社のものづくりの基本である「品質」に立ち返らねばならないという機運が盛り上がりました。活動の中心に置いたのは「生産準備」から「生産革新」への転換です。

―考え方を「準備」から「革新」に変えさせたきっかけは何ですか。

率直にいって、それまでの生産技術の仕事は「生産準備」でした。量産に向けて「設計部門から出た図面にもとづいて忠実につくる」ということです。既存の大艦巨砲の設備を擁し生産準備を進める方式、いわば「大艦巨砲主義」なので、生産性は上がるものの、環境対策をはじめ、さまざまな課題が浮かびあがってくる面があります。すでに述べたように、この方式だと量産立ち上がり寸前まで課題解決に追われ、どうしてもムダやロスが生まれがちです。

この悪循環を断ち、効率よく改めていこう、ということになりました。そこで早渕専務が提唱したのが、「デザインレビュー(DR)」という、入口を変える考え方です。

―入口を変えるとは。

実際の生産がはじまる実行段階でなく、計画段階で設計部門、製造部門と課題を徹底的にすり合せるということです。「出された図面で部品をつくる」のではなく、つくりやすい図面を生産技術が主体的に提案するという「生産革新」の考え方です。

つくりやすい図面とは、生産革新しやすい図面ということです。すると、かつてのように、立ち上がりギリギリではなく、量産開始3~6ヵ月前に形を整えることができる。このように仕組みを変えることで、量産に移る前には不良もチョコ停も全検もないライン、つまり、ムダ・ロスゼロのラインを構築することができます。

―旧来の設計的なアプローチをQC的なアプローチに改めたともいえますね。

そうですね。そうすると、SE活動で既存の工法よりもつくりやすい図面に変更するといった改善ができます。たとえば、これまで、切削加工でつくっていた1ピースの部品を鍛造品で2ピース化するという改善をしたことがあります。単純に考えると、2ピースにすることで部品数は増えます。しかし、切削時の切粉の巻付きがなくなったり材料の歩留まりが改善されたりするので、コストを3分の2に減らすことができます。こういう仕事こそ、生産技術の本領です。そのためのつくりやすい図面を描くのは、設計部門の本領でしょう。

私たちはこうした検討、つまりDRを活動開始後に年間300回以上行いました。受賞までに5年間を費やしているので、延べにすると1,500回。回を重ねるうちにDRこそが生産技術本部のめざす姿の入り口であるという思いを強くしました。

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