クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2013年1月-3月(No.4) > 特別企画 > インタビュー「日本国籍グローバル企業への道を聞く」

特別企画 日本国籍グローバル企業への道を開く サンデン㈱ 代表取締役会長 牛久保 雅美(うしくぼ まさよし)

自ら考え、自ら歩むことの強さ

――出版おめでとうございます。ご執筆にあたり、改めてご自身の経験を振り返られたことと思います。新たな発見はあったのでしょうか。

私自身としては、あたり前のことをしてきたにすぎませんでした。しかし、振り返ってみると、私の会社人生は大きく3つのキーワードに分けられることに気づきました。これは大きな発見でした。それは、「グローバル」「品質」「環境」です。

まず「グローバル」です。「サンデンをグローバル企業に」ということはもちろんですが、もともと、私は世界中を飛び歩いてみたいという、子供の頃からの夢がありました。この夢を会社での仕事を通して実現できたのではないかと思っています。

次は「品質」です。会社の責任者となって、私が常に一番に考えてきたことは、この会社を存続させる、もっと厳しくいえば潰さないということです。この潰さないという危機感を絶えず意識する中で、徹底的に品質をよくしなければ会社は生きていけない、という思いを強く抱きました。これが徹底した品質へのこだわりになったのです。

3つめは「環境」です。会社を将来にわたって存続させなくてはならない、それに加え、自分たちの仕事は社会に役立つことが大切です。会社が発展すると同時に社会に貢献すること。そのために何をすべきか――これがわれわれが今取り組んでいる「環境」に対する活動です。

今振り返ると、これらのことはすべて、誰かにいわれて気づいたり、指示されて取り組んだわけではなく、自らの考えで行ってきたことでした。しかし、そうやって自ら考え、自ら行動してきた仕事は、ただ自分のことだけを考えてきたものではありません。会社経営の中で、社会に貢献してきた、いわば正道を歩いてきたといえると思います。

こうして自分を発見した結果、自分の考えや経験を伝えることが、世の人の役に立つのではないかと思うようになりました。この本を通じて私の人生を伝え、若い世代に何らかの気づきをもってもらえればいい、そんなことを考えています。この本は私の友人や知人にも読んでもらいましたが、思った以上に反響がありました。その大きな反響が、私の考えを裏付けてもくれました。

――この本で書かれた若い世代への言葉に、私は強く共感しました。今、豊かな時代になって、若い人はスマートだけれど、目標達成に向けた貪欲さのようなものが薄れている、ネズミを捕らない猫になってしまった、という点です。すぐには答えの出ない課題へチャレンジしようするモチベーション、マインドがない若者が日本には増えていて、そこをもっと強くしていかなければならないのではないか、と私も思えてなりません。

私が常々口にしていることです。たとえば、日本で品質管理が盛んだった1990年代は、TQCを導入する企業が急増し、日科技連もその対応でご苦労された時代ではなかったでしょうか。その頃の活動が日科技連の今の評価となっているのです。今の活動による評価ではないかもしれません。これは日科技連にかぎったことではなく、日本の産業界の多くは過去の遺産で生きているようなものではないでしょうか。今、日本では品質管理に対する情熱が冷めてしまい、デミング賞受賞企業もインドなど海外を中心とした企業が増えています。日本人の品質意識の低下が日本の国力の低下にもつながったと私は思っています。

2050年には、日本の人口は8,000万人になるという説があります。そのうちの半数以上が65歳以上です。日本は老大国になります。国として成り立たせるためにどうしていくべきか、政治的にも大きな問題です。

かつての大国が衰退した例は歴史上数多くあります。たとえばポルトガルです。小さな国ですが、ブラジルを支配していた時代もあります。今は経済問題に揺れるスペインも国土は小さいながら、かつては南米に大きな勢力を誇っていた。

日本もどうなることでしょう。将来、日本国籍などというものはなくなるかもしれません。江戸時代までの日本は多くの国に分かれており、それが明治時代に統一されました。同じように、グローバル化がどんどん進展していけば、今度は日本という国の名前はもういらなくなるでしょう。私は、会社でいつもそれを話しています。グローバルカンパニーとして、日本という国籍にこだわらず、サンデンの旗の下で栄えればいいのです。

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