クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2013年4月-6月(No.5) > 連載 > 日本品質奨励賞への道(阿波スピンドル) Part1

日本品質奨励賞への道 この連載では、2011年度日本品質奨励賞受賞組織にフォーカスし、代表者へのインタビューと、取組みの内容をご紹介します。 第5回阿波スピンドル 本社・本社工場 Part1 学習する人づくり、組織づくりを推進 成果導いたトップの強いリーダーシップ 阿波スピンドル(株) 代表取締役 木村 雅彦氏

「2018年に代表を退きます」――繊維機械用スピンドル分野の国内最大手、阿波スピンドルの新社長就任挨拶は退任予告挨拶を兼ねていた。数えて12代目当主にあたる木村雅彦代表は、先代から経営を引き継ぐ際、社内外に対して2つの願いを出した。「社長ではなく、代表と呼んでもらうこと」と「2018年に代表を辞すること」だ。前者は「阿波スピンドルの、また従業員の代表者でありたい」という思い、後者は「この年に迎える創業150周年を節目に現役の仕事から退き、会長職について後任の育成に専念する」という目標を言葉にしたものだ。同社の事業としての創業は約150年前だが、源流をたどると初代が錘(つむ)の製作を手がけた約400年前にいきつく。積み重ねた歴史が長ければ長いほど、働く人の意識を変えるのは困難だ。同社が初挑戦で「2012年度日本品質奨励賞 TQM奨励賞」を獲得した背景には、木村代表の強いリーダーシップとそれを聞き入れる社員との好ましい信頼関係があった。

ボトムアップとトップダウンの融合めざすab

―現存する日本の企業の中で、歩んできた道のりを400年前まで遡れるのは非常にまれなことですね。

木村氏(以下略):この地方は古くから地場産業として麻や絹などの繊維関連が盛んで、皇室行事の大嘗祭(だいじょうさい)には当地の麻布が献上されていました。そんな関係で、木村家も代々繊維にかかわっていたらしいのですが、実は古い資料を祖父がすべて焼いてしまったので、くわしいことはわかりません。

ただ、1600何十年かに没したという先祖の位牌が残されているので、今日に至る歴史は連綿と引き継がれているはずです。

―貴社の「前史」の確認ですが、初代が手がけられた錘づくりが今日のような事業に進化した経緯は。

錘づくりは刀鍛冶(かじ)の応用なので、昔は1本1本ふいごで熱して、焼入れを行っていました。文字どおりの手作業ですから、作業量にも限界があります。この時の当主だった4代目の鍋衛門は、なんとか量をこなしたいと考えて長崎にまで足を運び、当時の最先端技術である浸炭焼き入れを学んで、さっそく導入しました。これが、量産化への道筋をつけます。こうして生産量、販売量の拡大への体制を整えた7代目の正平が、明治元年に「木村正平商店」を興します。この時が当社の事業的なはじまりです。

現在は今回の受賞対象となった本社工場でスピンドルやノズル、OEM製品(モーターなど)を、瀬詰工場でベアリングやステアリング関連部品といった旋削加工の外注品を製造しています。

―今回の受賞につながるTQM活動には、どのようなねらいで取り組まれたのですか。

1970年代前半まで、当社製品の主力納入先である繊維機械産業は、景気の山谷を一定間隔で繰り返す循環型経済で動いていました。ところが70年代後半になると、大手合繊メーカーが相次いで海外に生産拠点を移しはじめます。これにともなって、東南アジアでの繊維設備が急成長しました。

すると、業界をめぐる環境が根本的に変わるので、従来の循環型経済が成り立たなくなります。そして、1996年ごろには繊維機械設備投資バブルが崩壊する。そのあおりは当然当社にも及び、1997年には事業の再構築を迫られました。

こうした環境の激変の中、試行錯誤を重ねて「方針管理」を導入し、1999年に「中期経営計画」を策定しました。そして、2004年にTQMを導入。2006年には「質の革新」をスタートしました。2010年にはTQM強化宣言を行い、日常管理の見える化に取り組んでいます。

―TQM活動に先立つQCサークル活動は以前から取り組まれていたのですか。

先代の時代から日科技連を通じてQCサークルの展開方法などを学んでいました。自動車部品メーカーと取引きする上では欠かせませんから、かれこれ30年以上も前からになります。当時の基礎があったので大きな戸惑いはありませんでした。2004年のTQM導入に際しては、全社的なボトムアップ(QCサークル活動)とトップダウン(方針管理)を融合し、双方からの課題解決をバランスよく進めることに重点を置きました。

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