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HOME > 2013年7月-9月(No.6) > 連載 > 日本品質奨励賞への道(小川工業) Part1

連載 日本品質奨励賞への道 第6回 小川工業 Part1

自動車、建築用金属部品製造の小川工業(株)は、設立40周年の節目にあたる昨年「2012年度日本品質奨励賞 TQM奨励賞」を獲得した。TPM活動の実践などで、もともと現場の体質強化に力を入れていた同社が、TQM活動に取組むようになった背景には、厳しい精度を求められる自動車部品業界への参入がある。建築部品が主力だった時代から定評のある高い技術力と製品品質は、TQM活動でどのように高められ、今回の受賞に実を結んだのか。TQM活動のリーダーシップをとる社員から、“アンパンマン”の愛称でも親しまれる佐々木社長に話を聞いた。

体質強化のために参入した自動車部品

――「小川工業といえば高ナット」といわれるほど、御社はこの分野で圧倒的な存在感を示していますね。

佐々木氏(以下略):当社のはじまりは1939(昭和14)年に創業者の小川末一が大阪市西成区で興した「小川磨ナット製作所」です。その名のとおり、主にネジ周りの製品を数多く手がけていました。そのあと、創業地が阪神高速堺線工事にかかるため立ち退きを迫られ、1967(昭和42)年に縁戚者のいる橋本市に本社工場を移しました。1972(昭和47)年に「小川ナット工業(株)」として法人設立。1986(昭和61)年に現社名に変更して現在に至ります。

この間、拠点を移した1967(昭和42)年から建築部門を事業の柱に据えて、ネジの高さが通常の3倍もある高ナットの切削加工を手がけるようになりました。当社の強みは創業当時から加工工法の開発に取組んできたことです。

たとえば、高ナットの加工をいち早く冷間圧造に切替え、生産量と売り上げの増大に弾みをつけました。一時は高ナットの国内シェアで70パーセントを占めるほどでした。

――1985(昭和60)年には自動車部品をもう1つの柱に加えられています。そのねらいは。

端的にいえば、自社の体質を強くするためです。自動車部品を手がけさせていただくことで、お客様に育てられ、たくさんのことを学ばせていただきました。それにつれて、売上高も順調に増えてきました。その過程で、高ナット製造を冷間圧造に切替えた時のような、当社ならではの技術開発にも磨きをかけてきました。「量の時代から質(精度)の時代」になることを見越した独自の工法開発も行っています。汎用プレス機で板厚30ミリ抜きを可能にしたファインプレス工法はこれまでにない製品開発も可能にしました。この工法のおかげで、当社製品の品質が自動車メーカーに評価されたことは大きかったですね。近年はさまざまな加工工法ばかりでなく、それらを組み合わせた複合加工で新たな製品を生み出しています。

用途別では、自動車(自動車部品事業・プレス部品事業)80パーセント、建築(建築部品事業)20パーセントの割合。かつては、それぞれ60パーセント、40パーセントでした。自動車の80パーセントを工法で分けると、パーツホーマー(サスペンション、ステアリングなど)43パーセント、ファインプレス(ポールパーキング、シートベルトなど)37パーセントの比率です。

※画像クリックで拡大できます。 図1 代表的な生産品目と売上比率
図1 代表的な生産品目と売上比率

――御社の操業が止まると国内の自動車生産が停滞してしまうことも?

ある車種の部品には当社の重要保安部品が使われているので、少なからぬ影響はあると思います。それだけに、いかなる理由があっても、そうした事態を招かぬような手立てを整えています。

実際、当社の部品が自動車部品メーカーに納められると、その部品を使った完成車が7時間後にディーラーに出荷されます。つまり、在庫は7時間。こういう流れに即応できるような仕組みと、自動車部品ならではの厳しい要求基準を満たす品質をいかに確保するか。それが当社に課せられた使命の1つです。

――御社はTQM活動以前にも、全員参加の体質改善活動に取組まれていますが。

私は、1992(平成4)年に繊維関係の商社から当社に転じました。製造業に関してはまったくの素人です。だから、右も左もわからぬ状態の現場では、多くのトラブルに悩まされました。設備故障による品質不良や納期遅れの多発、チョコ停の頻発による生産性の低下、設備汚れによる社員モラルの低下など、数え上げればきりがありません。当時の社長の肝煎りで勉強がてらに見学させていただく他社工場は、どこも整理整頓されているので、帰ってくると自社とのあまりの違いに頭を抱える始末です。

そこで1996(平成8)年に、まず(社)日本プラントメンテナンス協会が提唱するTPM活動を導入しました。設備故障の低減や設備管理の改善にねらいを定めた取組みです。この活動を通じてTPM優秀賞を3度(1999年、2002年、2006年)受賞しています。おかげさまで、2008(平成20)年まで増収増益をつづけることができました。しかし、折からのリーマンショックで厳しい経営環境での品質管理を余儀なくされました。こうした経緯から、リーマンショック後の2010(平成22)年にTQM活動を本格導入することを決めたのです。そのおかげもあり、2011年10月に4度めの「TPM優秀継続賞」を受賞することができました。

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