クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2013年10月-12月(No.7) > 特別企画 > 「第97回品質管理シンポジウム」連動特別企画

第97回品質管理シンポジウム 連動特別企画 ものコトづくり時代の品質と人材育成 圓川 隆夫 東京工業大学大学院 教授 (第97回品質管理シンポジウム 主担当組織委員)

なぜ“ものコトづくり”か

半年ごとに開催される品質管理シンポジウム(以下QCS)も97回目を迎える。97QCSのテーマは、「ものコトづくり時代の品質と人材育成―ワクワク品質と安心品質の両立を支える更なる品質力強化を目指して-」である。長らく閉塞感が否めないわが国ものづくりから、今回は、“ものコトづくり”という用語を全面に出し、そこからの脱却と新たな成長へ舵を切るために、抜本的な品質のあり方の転換、それを実現するための処方箋、これらを通して新たな品質の世界像を探ることを目的とする。本稿では、そのための前座として意義や、これまでの関連する議論について紹介するものである。

まず“ものコトづくり”とは、正確には“コトづくり発想からのものづくり”のことである。そしてコトとは、顧客が“もの”を使って、どのようなことを経験しあるいは期待するのか、そしてそこからいかに感動やワクワク感といった価値を提供できるか、ということを意味する。UX(user experience)ともいい換えられかも知れない。残念ながらこれはユーザーインターフェイスデザインやマーケティングから出てきた言葉で、品質管理の立場からは顧客価値に相当するが、これでは内容が抽象的過ぎる。

筆者が、ワクワク感の創出、あるいはワクワク品質ということを意識し出したのは、バブル崩壊後ヒット商品が現れない状況にあった丁度2000年頃に、21世紀のものづくり再生を期して、日本ものづくり質・人革新機構が設立された頃に遡る。機構の理事長で当時デンソー会長を務められていた故高橋朗氏が、研究室に訪ねてこられて、フェラーリに代表されるイタリア流のものづくりによるワクワク品質をどのように実現するのかを、機構の部会で研究してほしいという依頼であった。

無論、壮大なテーマを受ける知力も度胸もなく、聞き流すことに終わってしまったが、以来、今日まで心の底にしまっていた。大学での研究では、後で少しふれる15の製品・サービスについて、世界8ヶ国のCS(顧客満足度)の調査や、そのメカニズム、とくに国の文化による違いの研究を通して、ワクワク感がどのようにして生まれるのか、顧客サイドからの視点で考えてきた。時代背景とわが国独特の文化素地の相互作用によってガラパゴス化やワクワク品質を生みだす阻害要因はみえてきた。

丁度、その頃、95QCS主担当組織委員であるアイシン精機の山内康仁相談役から、「企業が飛躍するための新商品創造―心ときめく、ワクワクした商品の継続的な提供」というテーマのもとで、基調講演の依頼があった。同時に自身のQCSの組織委員の就任(1年後の主担当)依頼があり、2回続ければ具体的にワクワク品質を生みだす枠組みや方法論が見い出せるのではないかという期待から、両方とも受けることになった。加えて、経済同友会などで検討されていた“コトづくり”という言葉に出会った。ワクワク品質は結果であるが、それを生みだすためのプロセス側のビジネスモデルの変化、あるいはパラダイムシフトを促す言葉として“コトづくり”が、突破口として使えるのではないか、と思った次第である。

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