クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2013年10月-12月(No.7) > 連載 > 日本品質奨励賞への道(サンワアルテック) Part1

連載 日本品質奨励賞への道 第7回 サンワ アルテック 2012年度日本品質奨励賞 TQM奨励賞 PART1 インタビュー 世界に通用する一流ダイカスト会社めざすグループ会社におけるTQMの手本に サンワ アルテック(株) 代表取締役社長 竹内 康二氏

かつて、カーエアコンは標準装備でなく、ディーラーやカーショップなどで後付けするのがあたり前だった。そんな時代に、サプライヤーとして取付け対応車種率99パーセントを誇っていたとされるのが、サンデン(株)。新車発表から1カ月後に専用エアコンを市場に送り出す離れ業は、今でも語り草になっている。そんな同社の八斗島事業所のアルミ鋳造部門が分離、独立して1999年に発足したのがサンワ アルテック(株)である。コンプレッサー用アルミ鋳造部品の生産を通じて確立した、精密真空鋳造技術と全自動効率化生産ラインには同業他社も一目置く。グループ会社としては後発であるにもかかわらず、2005年に導入したTQM活動は、2010年にグループ内の最優秀賞を獲得。その成果は「2012年度 日本品質奨励賞 TQM奨励賞」に実を結んでいる。
(聞き手:伊藤公一)

親会社を巻き込んだTQM活動でグループ首位に

――手元の資料によると、御社はサンデンの「個会社」ということになっています。誤植ではないですね。

竹内氏(以下略): 間違いではありません。親の言うことをただ聞くのでなく、名実ともに独立した会社という思いを込めて「子」の代わりに「個」を充てています。グループ内には当社を含めて17の個会社があります。

――17兄弟のうちでも、御社の源流はサンデンのアルミ鋳造部門ですが、現在の事業のあらましは。

独立の経緯から、カーエアコン用コンプレッサーのアルミダイカスト鋳造部品が事業の柱です。主力製品は大別して4種類。もともとはシリンダーブロックがメインで、一時は40種類ほどを手がけていました。売上げ構成比を数量ベースでみると、シリンダーブロック50パーセント、シリンダーヘッド20パーセント、フロントハウジング16パーセント、ケーシング14パーセントという割合です。

以前はシリンダーブロックだけで70パーセントほどありましたが、近年は品質的にむずかしいシリンダーヘッドの比率が増えています。サンデン本体が従来の購買品を見直し、自前で調達できるようにしたことも関係しています。

※画像クリックで拡大できます。 主力製品
主力製品

――今回の受賞につながるTQM活動には、どのような経緯で取組まれたのですか。

創業と歩調を合わせるように、生産量が右肩上がりで増えました。新規案件の立ち上げが相次いだことによるものです。しかし、良品条件が確立しないまま量産に移行したので、品質面での問題が続出。市場クレームや失敗に伴う「負のコスト」が心ならずも増えてしまい、債務超過の危機に陥りました。2003年ごろのことです。

そこで、準備期間を経て2005年からTQM活動をはじめました。この時に初代社長が「品質は会社の生命線」というスローガンを掲げました。背景には、新機種立ち上げの際に、品質確保ができず利益の圧迫を余儀なくされたという経営上の苦い経験と教訓があります。率直にいって、品質不良はすべて当社が悪いのではなく、金型設計や工法設計に関わる親会社にも、責任の一端があるのではないかという思いもありました。

――親会社を巻き込むということですね。

上にものを言うには、当社が品質を上げる必要があるからです。そうでないと「つくり方が悪いからだ」と一蹴されてしまいます。自分たちに品質の裏づけがなければ、たとえば「不良品が出るのは、金型のここが悪いから」とは言えません。そのためにも、親会社を巻き込まねばならなかったのです。そこで、まず、自分たちで実績をつくることに努めました。幸い当社にはサンデンの「S」を頭に付けたSTQMというグループの行動理念があるので、この大会で認められることに目標を定めました。

取組みを進めていく上での要点は、方針展開と小集団活動にこだわることです。考え方としては、5年先を見据えた中期経営計画を年度の実行計画に落とし込みます。それをより確実に早く実現するためにTQMを導入し、職位ごとに挑戦目標とそれを達成するための方策を掲げます。そして、業務プロセスの質の向上と体質改善をねらい、その重点目標を達成する活動としてTQMを体系化し、小集団活動に力を入れました。

――上にものが言えるまでに何年かかりましたか。

ざっと5年です。当面の目標は、STQMの大会で実績を残すこと。そのためには、QC活動で個社ブロックを勝ち抜かなければなりません。当社の従業員はともかく真面目なので、ひたすら愚直に取組みました。

その結果、導入してから5年後の2010年に当社のQCチームはグループ1,000サークルのトップになりました。少なくとも、QC活動では親会社をしのいだわけです。

ちなみに、グループ全社、全サークルを対象に行われるSTQM大会では、世界一を1回、日本一を4回受賞しています。

――活動を進める中で心がけたことは。

毎月、全サークル、全部会で行っているトップ診断は、歴代社長からの引継ぎです。現場での発表に対してコメントしたり、アドバイスしたりしてPDCAを回します。この際に大切なのは、指導することよりも、何を求めているかが分かることだと思います。私自身が、課題をつかむためのツールとしても機能しています。

ダイカスト部品がむずかしいのは、中の様子が見えないことです。たとえば、ある部品の各部を留めるねじに緩みがあれば、ねじを締め直せば済みます。不具合が外から見えるからです。しかし、ダイカストは不良につながる内部の気泡や巣やクラックが見えません。だから、愚直にものづくりを回していくしかないのです。

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