クオリティマネジメント Quality Management

文字サイズ
  • 標準
  • 拡大
ログイン
掲載情報をメールでお知らせします。
購読申込
HOME > 2014年4月-6月(No.9) > 連載 > 「現場力」の変化を見る 第2回
連載 「現場力」の変化を見る 遠藤功 早稲田大学ビジネススクール教授 (株)ローランド・ベルガー日本法人会長
遠藤 功 氏
遠藤 功 氏

Webジャーナル『クオリティマネジメント』では、2012年No.2の特集「日本のものづくりの人の“力”を再考する」に引きつづき、遠藤功氏にインタビューする機会をいただいた。去る2013年6月6日から8日の3日間にわたって行われた「第96回品質管理シンポジウム」において、『日本品質と現場力』と題して特別講演をお願いした。シンポジウムでは、『世界最高技術と日本品質を極める人材育成~持続可能な品質優位の経営~』(クオリティマネジメントNo.6掲載)をテーマに熱い議論が行われた。では、日本品質とは何を指すのだろうか。私たちは、グローバル市場の中での日本品質を改めて定義し、整理する時期にきているのではないか。日本品質を解きほぐして理解し、実践しなければならない。そのため、あらためて日本の現場力の変化について遠藤氏にお話を伺った。(聞き手:廣川州伸)

第2回

日本らしさの根幹とは何か

前回、日本人らしさについてもふれさせていただきました。日本らしさの根源は人の可能性を信じることにありました。現場では人を中心とし、その人たちの能力をフルに発揮してもらうとことを経営の中心にすえていくことです。

ところが1990年代からの失われた20年で、人の可能性を信じるということがゆらいでしまいました。私は、現場は価値を生み出すバリューセンターだと言いつづけていますが、かつての日本は、間違いなくそう考えていたはずです。それがいつの間にか、人が単なるコストになってしまいました。現場にいる人をコストとして捉えれば、安ければ安いほど“いい”ということになります。

本来、現場の使命は何かというと、価値を最大化することです。コストを最小化することではありません。確かにコストの最小化は使命の1つかもしれませんが、それがすべてではありません。たとえコストがかかっても、プラスアルファの付加価値のほうが大きければ、その現場は十分な存在価値があるわけです。現場をバリューセンターだと思えば、現場にいる人の能力をいかに最大限に引き出していくかが課題となります。

たとえ100というコストをかけても、現場がバリューセンターとして機能し、品質、イノベーション、サービスなどで120、130という価値を生めばいい。現場をコストセンターとして扱ってしまうと、目先のことを考えて100のものを90にし、何とか80にまで下げようとしてしまいます。しかし、仮に中国が同じものを50でつくっていることがわかり、コストを下げても到底かなわないと気付き、そこから付加価値で勝負することに転換し120をめざしたとしても、コストセンターとして扱われ士気の下がってしまった現場のモチベーションは上がりません。残念ながら、その時にはその現場に付加価値を生むような人材は見当たらないでしょう。

もちろんコストというのはバリューの1つではあるのですが、バリューには品質もあり、イノベーションもあり、納期もあり、サービスもあります。いろいろな価値を現場は生み出すことができるのです。多様な価値を、しかも深いレベルで提供することができれば、たとえコストが多少は高くなっても世界市場で十分に戦っていける。そういう考え方をもってこれまでやってきたかどうか、それがいま問われているのです。

ここから先はログインID・パスワードをお持ちの読者様のみ閲覧ができます。

ログインID・パスワードをお持ちの方は、ログインしてください。

ログイン
購読申込

連載

全てを表示

年度別 INDEX

編集部だより Editorial department
読者の声 voice