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HOME > 2014年4月-6月(No.9) > スペシャルインタビュー > ヤマザキマザック(株)・山崎智久氏

スペシャルインタビュー 工作機会産業でいち早くねらい定めた世界市場グローバル化と技術革新を経営の両輪に ヤマザキマザック(株)代表取締役社長 山崎 智久 氏

ワインをフランスに輸出するようなもの?

―ものづくりを支える日本の工作機械産業は2011年以降、受注額、生産額ともに1兆円を上回っております。「1兆円産業」といわれるゆえんですが、昨今の業界をどうみますか。

キーワードはやはりグローバリゼーションです。世の中の動きが地球規模で変化するのに伴って、この数年来、工作機械に関しても市場と製品の双方で二極化が進んでいます。市場は、日米欧などのように高度なものづくりをめざす市場と、新興国を中心とした大量生産に重きを置く市場とに分かれます。

製品も高機能、高付加価値を追求するハイエンド機と、機能を絞ってコストパフォーマンスを高めた量産型機械とに分かれます。こうした動きにどう応えるかを日本のメーカー各社は迫られていると思います。二極の一方に特化するか、両方に目を向けるかは各社の考え方によります。
 

―御社は市場、製品とも、歴史的にフルラインナップで臨んでいますね。

かつては、必要とされる製品を市場によって明確に色分けできたのですが、最近はハイエンド機主流の欧米でさえボリューム機が増えてきました。つまり、市場と製品の二極化にずれが生じはじめたのです。背景には、製品の価格やグレードと生産量で形作られるピラミッドの底辺、すなわち「ベース・オブ・ピラミッド」に向かって世界市場で需要が広がっているという事情があります。

たとえば、日本メーカーがこれまで「製品ピラミッド」で大きなシェアを占めていた中間部から上位の領域に近年、下方から台湾や韓国のメーカーが押し寄せてきているのです。やがて、これに中国勢も加わるでしょう。当社が現在でも製品ピラミッドの中間から上の全領域をカバーできているのは、裏付けとなる生産拠点を日本の5カ所に加え、海外に5カ所(米国、英国、シンガポール各1カ所、中国2カ所)展開しているからです。

グローバル展開を示す世界地図


―生産拠点の展開を含む御社の海外戦略を遡ると、業界に先駆けた対米輸出に辿り着きますね。

はい。最初は主力製品の汎用旋盤をまず米国に輸出しはじめました。1960年代のことです。当時の国産機の製品レベルは必ずしも高いものではなく、工作機械といえば、海外から輸入するのがあたり前でした。工作機械ばかりでなく、日本製品はおしなべて安かろう悪かろうといわれていた。そんな時代に海外に売ろうというのですから、計画を推し進めた先代社長(=智久氏の実父、照幸氏)は同業者から笑われたそうです。「まるで、日本のワインをフランスに輸出するようなものではないか」というわけです。
 

―ところが、周囲の懸念をよそに輸出戦略は成功を収める。68年に米国に販売会社を設立し、販売が軌道に乗ると、その延長線上で海外生産拠点の展開に駒を進めました。

米国工場
米国工場

海外市場戦略に伴う製造、販売両面でのグローバル化は、当社の経営そのものともいえる大きな特徴です。この際のグローバル化とは単に海外に営業所を設けたり、輸出比率を高めたりする次元の話ではありません。ねらいは「真の現地化」でした。海外生産はその第一歩です。

現地工場建設(1974年)にあたっては「その市場の顧客に対し、より良いビフォアサービスとアフターサービスを提供できること」と「その市場に根を下ろすことで不退転の姿勢を示すこと」を前面に打ち出しました。

工作機械は購入後10年以上も使われます。従って、この間の迅速なサービスが欠かせません。工作機械には好況期に急上昇し、不況期に大きく低下するという特質があります。輸出で現地に進出したものの不況のあおりでサービス機能を縮小したり、現地から撤退してなくなったりしたメーカーもありました。

そう考えると、当社の米国工場が成功したのは「ここの製品ならば購入後のアフターサービスも大丈夫」という印象を現地の代理店やお客様に抱いていただけたからではないかと思います。進出先のシンシナティ地区はもともと米国工作機械産業の聖地のような土地柄です。そのような場所に敢えて工場を造れば、工作機械を良く知る良質な作業者やエンジニアも得やすいという理由も当時の動機としてはあったようです。

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