クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2015年1月-3月(No.12) > コラム・エッセイ > QMコラム(第9回)「品質教育のブラックホール」
[QMコラム]を連載します。

第9回
「品質教育のブラックホール」

今回は「品質教育のブラックホール」というものについて話してみたい。

一般的にいわれているブラックホールは、「きわめて高密度かつ大質量で強い重力のために、物質だけでなく光さえ脱出することができない天体」、あるいは「何らかのネットワーク上の障害によって、通信回線内のパケットが抜け出せず、送信先にたどり着けない状態」などといわれている。私のいう「品質教育のブラックホール」は、ボディーブローのごとく将来にわたってジワジワと会社に悪影響がでてくるものと最近つくづく思っている。

さて、読者の皆さんは私がここで述べている「品質教育のブラックホール」とは何のことと思われるだろうか?

私が思うに「品質教育のブラックホール」とは、“会社・組織として、しっかりとした品質に関する教育を充分に受けていない社員の一団”と考えてもらうのが一番わかりやすいと思う。

では、なぜこのようなブラックホールができてしまうのだろうか?

企業には高等教育・大学教育を受けた学生たちが入社してくるが、高校・大学時代に専門的に品質に関する教育を受けた学生は極一部である。昔、「品質○○○」という名前をつけた講座にはなかなか学生が集まらないと、大学の教授から聞いたことがある。このように学生時代に充分な品質に関する教育を受ける機会が少ないのが現状ではないだろうか。そのため、卒業して間もない学生たちは、会社に入社してからはじめて基本的および専門的な品質に関する各種教育を受け、実践し成長していくのである。

しかし、この過程で何らかの理由(おおむね経費削減のために教育がカットされることが多い)によって教育される機会がなくなると、教育の空白ができてしまうのである。この期間が長期におよぶとブラックホールの規模は大きくなり、成長していくのである。このブラックホールが小さなうちは、過去に教育を受けた者がリカバリーすることもできるだろう。しかし、そのまま放置してブラックホールが肥大し、組織の上層部にまで及んでしまうと非常にやっかいなことになる。

こうなると再び上層部を教育し、品質に関する教育の重要性を認識してもらうのが一番早いが、多忙やプライドが邪魔をしてすぐにはできないのが現状である。一度できてしまったブラックホールを消滅させるには、やはり入社まもない社員から地道に教育を行い、彼らが上層部になるまで待たなければならないであろう。これには多大な時間とそして費用がかかることになるのである。

このように、ブラックホールができてから、品質教育の大切さに気が付くのでは遅いのである。継続することの重要性をしっかりと理解し、不況の中でも常に品質教育を地道に行い、そして上司が部下を指導しながら実践していくことを怠らない会社が、未来永劫、ロバストな企業なのであると思う。

(ミスターQ)

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