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HOME > 2015年7月-9月(No.14) > コラム・エッセイ > 第13回「安全な環境の中で、安心できることに感謝!」
テーマ[安全・安心]

第13回
「安全な環境の中で、安心できることに感謝!」

最近、医療の問題、交通機関の事故、セキュリティの問題など、安全に関する報道が多くなったように感じる。こういうことが起こると、どうして起こったのだろうか、きちんと原因が究明され再発防止策ができているのだろうか、また水平展開はどうしているのか・・・など思ってしまう。

電気、ガス、水道、交通機関、医療機関、家電製品、インターネット・・・・私たちを取り巻くものは安全に利用できることが当然となっている。安全があたり前になっているからこそ、「安心できるか?」とそのつど問いかけることがなくなっているのもたしかである。しかし、ひとたび身近に問題が発生すると、普段の安全のありがたさを痛感する。

安全を確保するために、私たちの見えないところでは愚直な取組みがつづけられている。たとえば、今、私が住んでいるところでは水道水として地下水を100パーセント使用している。この恩恵で臭いもなく、美味しい水がいつでも利用できている。行政では水の安定供給に向け、水質の検査結果、設備の更新実績と計画、さらに外部からの見学者などを記した数ページの冊子を年数回送ってくる。このように普段は見えない取組みに対してきちんと情報を発信しているので、取組みのありがたさを感じるとともに、水を大事に使わないといけないと啓蒙にも役立っているのではないかと思う。

また数年前であるが、ある総合病院の受付けフロアに、チームごとの改善活動結果の模造紙が貼られたホワイトボードが5,6枚ほど置かれていた。患者で溢れているフロアなので、場に合わないような雰囲気がしていたが、フロアにいた患者たちは、いったい何が貼られているのだろうという興味津々な様子で各ボードを覗き込んでいた。

内容をみると、患者が怪我をしないように診察室の導線の改善や、頻繁に使う器具が直ぐに準備できるように置き場所の改善、ファイルが簡単に取り出せるように棚の見直し、待ち時間の改善・・・・など、医者、看護師、事務スタッフたちがチームを組んで取組んだものであった。

普通、医者だけ、看護師だけ、事務スタッフだけでチームをつくるように思えるが、各科でチームをつくり、いろいろな立場のメンバーが一丸となって取組んだものである。また、これらの取組みに対して表彰のしくみとして院内表彰があるようで、病院長賞など何の賞を受賞したかもわかるようになっていた。

品質管理に関係した人からみると、こんなこともしていなかったのかと驚く内容かも知れないが、取組みの目的、メンバー、施策、経過、結果と一連の流れを、図表や写真なども駆使しながら患者へわかりやすく伝える姿に新鮮さを覚えた。

この取組みがスタートラインに立つまでの大変さ、また各チームの活動が期間内に達成するための推進の苦労が目に浮かぶように感じた。病院側が一体となり、小さなことでもきちんと取組む姿勢を示すことで患者からの信頼も高まり、安心感も増すのではないかと思う。

「見えないところを見せる」という、このような情報発信は重要だと感じた。行政、機関、企業などは安全を支えている取組みを、あたり前と思わずもっと広報、公開してもよいと思う。そうすることで税金や費用、投資の理解がえられ、利用者にとって、より「価値」を感じて利用してもらえるのではないだろうか。

安全は提供する側、使う側が一緒になってつくっていくものであり、まずは提供側の使命として、安全・安心のためにしていることをきちんと伝えることだと思う。

そのためにも想像する力、リスクを予知する力をいかに高めていくかが、「安全」を確保し、「安心」を感じてもらうためのベースではないだろうか。

P. S.

コラムを執筆していて、学生時代に「価値とは何か?」と問われ、「『価値』とは無くなってみてはじめてわかるもの」と教えていただいたことを思い出した。普段、あたり前だと感じていることに対して、その「価値」に気づくことが大事なことだと思う。

(Yu.K.)

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