クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2015年07-09月(No.14) > 連載 >TQMとISO 9001改訂のマネジメントシステム要素間の関係(第2回)

TQMとISO 9001改訂のマネジメントシステム要素間の関係(第1回)

第2回 TQMの活動要素とISO 9001の関係

福丸 典芳 氏
有限会社福丸マネジメントテクノ
代表取締役 福丸 典芳(ふくまる のりよし)氏

前回は、TQMとISO 9001の基本的な考え方について解説した。今回は、TQMの要素の1つである方針管理とISO 9001の関係について解説する。

品質マネジメントシステムの設計思想

品質マネジメントシステム(以下QMS)の構築の考え方は、ISO/FDIS 9001:2015の序文の中で次のように記載されている。なお、この考え方は、ISO 9001:2008の序文にも記載されており、これを一部改正しているものである。

品質マネジメントシステムの採用は、パフォーマンス全体を改善し、持続可能な発展への取組みのための安定した基盤を提供するのに役立ち得る、組織の戦略上の決定である。

組織は、この規格にもとづいて品質マネジメントシステムを実施することで、次のような便益を得る可能性がある。

  • a) 顧客要求事項および適用される法令・規制要求事項を満たした製品およびサービスを一貫して提供できる。
  • b)顧客満足を向上させる機会を増やす。
  • c)組織の状況および目標に関連したリスクおよび機会に取組む。
  • d)規定された品質マネジメントシステム要求事項への適合を実証できる。

この序文では、QMS構築の目的に関して、QMSは事業活動に関わるパフォーマンス全体の改善に役立つ、また、持続可能な発展、すなわち、企業が顧客価値を高める製品・サービスを提供しつづけることで、企業価値を高めることについて基本的な考え方を示している。さらに、QMSは、現状の組織の事業環境やその変化に影響を受けるので、これを考慮したQMSを設計することが重要であることも示している。なお、ISO 9001:2008が対象としている品質とは、製品およびサービスの特性に関わるものである。

ISO/FDIS 9000:2015はQMSの基本と用語の定義を規定した規格であり、組織の基本概念では組織の状況について、図1.1に示すような考え方を明確にしている。組織の状況とは、組織の外部および内部の事業環境を考慮して、組織が事業活動を行うために、これらがどのような影響を及ぼすかを理解しておくことであり、これをもとにQMSの設計をすることを意図している。

※画像クリックで拡大できます。 図1.1 組織の状況の考え方

図1.1 組織の状況の考え方

デミング賞委員会では、TQMを「顧客の満足する品質を備えた品物やサービスを適時に適切な価格で提供できるように、全組織を効果的・効率的に運営し、組織目的の達成に貢献する体系的活動」と定義している。

また、組織目的とは「顧客満足の恒久的・継続的実現を通し、組織の長期的適正利益の確保と成長を目指す。従業員満足とともに社会・取引先・株主等の事業に関係するすべての人々の便益の向上を含む。」としている。体系的活動とは「組織の使命(目的)を達成するために、明確な中・長期的なビジョン・戦略および適切な品質戦略・品質方針を定め、経営トップ層の強い使命感と強力なリーダーシップのもとに行う組織的な活動をいう。」としており、これは方針管理の考え方を示している。

なお、TQMの品質とは、「有用性(機能・心理特性など)、信頼性、安全性などを指すが、第三者や社会・環境・次世代への影響を考慮する必要がある。」としたものである。

この2つを比較すると、取り扱っている品質の範囲は違うものの、ISO 9001とTQMの考え方は同じ方向性を示していることがわかる。すなわち、ISO 9001の序文では、顧客に提供する製品・サービスを持続的に提供するためのQMSの構築、実施、維持、継続的な改善を行うことを強調しており、狭い範囲でのQMSをいっているのではなく、組織が品質に関して運営管理すべきマネジメントシステムについてのことを意図しており、このようなQMSを設計することが大切であるという考え方を示している。この考え方は、まさしくTQMを推進する際に考慮すべき事項とほぼ同じである。

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