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HOME > 2016年1月-3月(No.16) > コラム・エッセイ > 第16回「消費期限、賞味期限」
テーマ[安全・安心]

第16回
消費期限、賞味期限

家族みんなで食べようと上等なお肉(昭和的な表現)を買いました。でも、みんなの都合がつかず、数日冷蔵庫に眠ったままになってしまいました。今日、やっとみんながそろいましたが、そのお肉が問題です。

「色が変わってきてるから、もったいないけど捨てよう」とお父さん。

「みんなが帰ってこないから、食べられなかったんだよ。今から新しいのを買いに行こうよ」と幼い子供。

二人の話を聞いていたお母さんは困った顔をしていましたが、じっくりお肉の色を見て、さらに匂いを嗅いで、「この程度であれば、大丈夫よ。しっかり焼いて(煮て)食べましょう」と裁断を下し、料理をはじめました。自信のない父と子供は黙ってしたがい、料理されたお肉をつつくのでした。

でも、最終的においしくいただけたみんなは満足。また捨てられずに済んでお肉も満足。遠い昔、はるか彼方の銀河系ではなく、昔は日本のどこでも見られた普通の光景ですよね。実際、わが家ではお肉しかり、牛乳しかり、ハムしかり、親父がその判断をしていました。

さて、時は移って、現在。

食品スーパーに並ぶお肉のパッケージには、いつしか製造年月日に加えて、消費期限が記載されるようになりました。

私たちもしっかりこの表示を見るようになりました。結構繊細な人は、たとえばコンビニで「おにぎり」を買う時、列の後ろのおにぎりを取ろうとした経験はありませんか。

消費者の行動がどう変化したかというと、自分の経験から食品を判別する判断基準から、食品メーカーが表示する数値を基準にして判断するようになったのです。まあ、便利といえば、便利になりましたが。

さて、この「消費期限」の定義ですが、「期限を過ぎたら、食べないほうが良い」という意味です。また「賞味期限」で表示される食品もあります。こちらは「おいしく食べることができる期限」です。食品衛生法や表示に関する法律などで、おおむね5日以内に品質面で著しい品質低下が認められる食品や食材に対しては「消費期限」を、一方、5日を超える長期の保存が可能な食品については「賞味期限」の表示を義務付けています。

それらの表示の歴史をグーグルでググってみると、1948年に厚生労働省は、食品衛生法にもとづき、飲用牛乳一部の品目に製造年月日表示を義務付けました。

一方、農林水産省は、1961年にJAS法にもとづき、加工食品のJASマーク品には、原則として製造年月日表示を義務付けました。

1995年には、厚生労働省が管轄する食品においては「消費期限」の表示と「品質保持期限」を、一方、農林水産省が管轄する食品においては「消費期限」と「賞味期限」を表示するようになりました。

さらに、「品質保持期限」表示も2005年には「賞味期限」の表示に統一されました。

ただし、これらの「消費期限」や「賞味期限」の設定については、市場に出回る食品は多岐にわたっているとの理由で、ガイダンスの提示はありますが、それらを表示するための必要な検査などの品目横断的な設定ルールは国としては定めていないようです。あくまで、精肉業者や食品メーカー、さらには業界団体で、ノウハウを蓄積して、たとえば微生物試験や理化学試験、官能検査などの客観的な項目(指標)にもとづいて品質基準を定めています。

このような表示により、消費者は判断するための指標が明確になりました。一方、各企業も「安全」基準が標準化されることにより、これらの基準に加えて、さらに独自性を盛り込んだ商品を開発するようになりました。買う側の消費者は「安全」を確認するだけでなく、これらの表示から「安心」も得られるようになったのです。ただ、便利になると何かを失っていくのも世の常です。

さて、先日のわが家の会話。

家内が、ストッカーの整理をしながら、ぶつぶつ。と、私に向かって
「ねえ、去年長野に行った時に、リンゴジャムを買ったじゃない。ストッカーにしまったのをすっかり忘れてた。今でてきたんだけど、よく見るとさあ。賞味期限が1か月も過ぎてるのよ。もうだめだわ。ねえ、どう思う。聞いても無駄かな。もったいないけど、捨てるよ。」と言いました。『いやいや、賞味期限とは「おいしく食べることができる期限のことだよ。今は品質管理のいき届いた製造業者が多いから、開けてみて、風味や色合い見て、決めたら。よしよし、俺がみて進ぜよう」・・・なんて言葉をぐっと飲み込んで、「あんたが食べたくないんだったら、捨てていいんじゃない。」

(J.M.)

参考文献

[1] 厚生労働省ホームページ:<http://law.e-gov.go.jp/>(参照2016-2-9)。
[2] 農林水産省ホームページ:<http://www.maff.go.jp>(参照2016-2-9)。

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