クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年1月-3月(No.16) > コラム・エッセイ > 第17回「うわべか、本物か」
テーマ[安全・安心]

第17回
うわべか、本物か

安全性品質にかかわる問題があとを絶たない。頻発しているといってよい。ただこれらは、一部の企業のことであり、多くの企業では常にお客様に良い品物、良いサービスをお届けするために誠実な努力をされているのは言うまでもない。そうはいっても昨今の新聞やマスコミ報道が取上げた安全性品質問題をみるにつけ、これが日本の企業なのか?仕事への考え方、姿勢、組織運営の何かが崩れてはいないかと心配になってしまう。

「安全にかかわるデータの改ざん、虚偽報告」「安全点検の未実施、放置」、「安全品質設計の基本的誤り」などを振り返ってみれば、それらの仕事の内容が普通の仕事とちがって、とくに高度で複雑、難解なものとはいえまい。あたり前のことを、定められた標準や基準にもとづいて実直にやっていれば問題にならなかったはずだ。利益・納期優先の会社運営や親会社(あるいは元請け)からの不当な圧力などが、その原因としてあげられるが、どうもすんなり納得できない。発生したのは、人命や財産損害にかかわる重要問題である。こと安全品質に関して、それらに携わる人々が自分たちの仕事の規律を破る、一線を越えるということをそう簡単に行うはずがない、と誰もが思っている。しかし、実際に起こってしまっている。

これらの問題を思うにつけ、筆者には「うわべか、本物か」という言葉が浮かんでくる。「うわべ」の仕事は納入先の要求をこなせばよい、場合によれば、要求を満たしたようにみせかけるだけでも良しとする考えがある。一義的には仕事をやった外形をつくることが大事で、まさに「うわべ」をつくることである。忙しい、間に合わないなど、さまざまな事情にとらわれ、本来の仕事を見失い、ついつい「うわべ」づくりに走ってしまう。それでよしとする仕事への浮薄(ふはく)な考え方、態度が上述のような問題を起すことに繋がった。

かたや、「本物」の仕事はちがう。仕事の目的を理解し、仕事に誇りをもっている。無理な要求、理不尽な要求には、当事者が自分の胸に手をあてて「何が正しいか」を自分で考え判断している。ルールや標準についても、そのとおりやれば良いというのでなく、その標準がなぜ作成されたのか、由来、根拠を熟知している。ゆえに、「本物」の仕事は譲れないものは譲れないのである。簡単に、矜持してきた一線は越えない。

要は1人ひとりの仕事観である。それが「うわべ」でなく「本物」の仕事観であって欲しい。上司、部下あるいは親会社、下請けの立場は関係ない。それぞれが、与えられた仕事の主人公である。自分の仕事を愛する、自分の仕事に責任をもち、誠実、愚直に「本物」の仕事に取組み、やりとげなければならない。そのために、私たちは仕事において一種の緊張感を持続させていく必要がある。どんな事情であれ緩んではならない。いつも「その仕事は本物か」を企業人として自問自答しながら、大きな判断を間違いないようにしたいものである。そして、自信をもって本物の仕事を遂行していこう。

(M.K.)

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