クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年1月-3月(No.16) > 特別企画 > 「第101回品質管理シンポジウム」ルポ
特別企画 「第101回品質管理シンポジウム」ルポ

日本の製造業再強化のために品質世界一の確立
-サプライチェーン全体で作る「安全・安心・信頼」のモノづくり-

向井正人氏

本田技研工業(株) 二輪事業本部 品質保証部
向井 正人(むかい まさと)氏

「第101回品質管理シンポジウム」(大磯)開催

写真1 大磯ロングビーチホテル(神奈川県中郡大磯町)

写真1 大磯ロングビーチホテル(神奈川県中郡大磯町)

第101回 品質管理シンポジウムが2015年12月3日(木)~5日(土)に大磯プリンスホテル(写真1)で行われた。

従来、箱根ホテル小涌園で開催されるのが常の本シンポジウムであるが、今回は箱根山の火山活動にともない、警戒レベル2を受けての対応となった。初日はあいにくの強風の中、多くの参加者にとってはじめての開催地とあって、戸惑いもあったようだ。

さて、今回のテーマは『日本の製造業再強化のために品質世界一の確立-サプライチェーン全体で作る「安全・安心・信頼」のモノづくり-』である。本稿ルポでは恒例に沿って、その様子を時系列で報告し、最後に私の振り返りを述べることにする。

写真2 メインホール

写真2 メインホール

シンポジウムは大きくわけて、講演とグループ討論から構成される。講演は写真2のようなメインホールでシンポジウム参加者全員が聴講し、登壇者の講演のあとに質疑の時間が設けられている。今回のシンポジウムでは6件の講演があった。

グループ討論はテーマごとにわかれて実施され、その後、グループから全体に討論内容を報告する。今回のシンポジウムでは6グループにわかれ、それぞれのグループは20名程度の参加者で構成された。全体のプログラムを表1に示す。各グループのテーマとリーダーは表2のとおりである。

表1 全体のプログラム

月日 時間 科目 講演者(敬称略)
12/3
(木)
夕刻〜 <特別講演>
「コマツにおける企業価値向上・顧客価値創造
~ビジネスモデルで先行し現場力勝負へ~」
坂根 正弘
(株)小松製作所 相談役
グループ討論
談話室(参加自由)
12/4
(金)
午前 主催者挨拶 (一財)日本科学技術連盟 役員
<基調講演>
「日本の製造業再強化のために品質世界一の確立-サプライチェーン全体で作る「安全・安心・信頼」のモノづくり- 」
田中 千秋
東レ(株) 顧問
※101QCS主担当組織委員
<講演1>
「安全な電力貯蔵用リチウムイオン電池が世界を救う」
吉田 博一
エリーパワー(株)
代表取締役社長
<講演2>
「デンソーの「信頼と革新」のモノづくり」
有馬 浩二
(株)デンソー
取締役社長
午後 <講演3>
「TOTOの品質への拘りと拘りの技術」
猿渡 辰彦
TOTO(株)
代表取締役副社長執行役員
<講演4>
「アサヒビールにおける最高品質提供のための取り組み
-サプライチェーン全体を通じた安全・安心・信頼のモノづくり-」
川面 克行
アサヒグループホールディングス(株)
代表取締役副社長
グループ討論
談話室(参加自由)
12/5
(土)
午前 グループ討論報告 司会:田中 千秋
報告:各班リーダー
総合討論
第101回品質管理シンポジウム まとめ 田中 千秋
次回(102回)品質管理シンポジウム案内 鈴木 和幸
電気通信大学 教授
※102QCS主担当組織委員

※所属、役職はシンポジウム開催時のもの

表2 各グループのテーマとリーダー

表2 各グループのテーマとリーダー

1日め(12月3日)

<特別講演> コマツにおける企業価値向上と顧客価値創造
~ビジネスモデルで先行し、現場力勝負へ
坂根 正弘 氏((株)小松製作所 相談役)

坂根 正弘 氏(株)小松製作所 相談役

坂根 正弘 氏
(株)小松製作所 相談役

冒頭、著書の「ダントツの強みを磨け ―私の履歴書」[1]を受け、自分の経営観につながっているものをあげるとすれば次の3つの出来事であるとの紹介があった。

1つめは、入社時はブルドーザーの設計者であったが、製図の仕事が嫌で、クレーム対応に自ら進んで出かけることで品質管理やサービスの重要性を体感したこと。

2つめが、ワンマン社長体制の下、上司であった役員と会社人生で、最初で最後の大喧嘩をして組織のあり方について考えるようになったこと。

3つめが、2度めのアメリカ赴任で現地企業との合弁会社である小松ドレッサー(KDC)の再建を通じてアメリカ式の経営を知り、日本経営の強さと弱さを客観的に理解できたこと。

企業価値の持続的向上については、評価するのはメディア・株主・金融機関であるが、価値をつくるのは、社員、協力企業であり、お客様であり、価値をつくる人たちこそ大切との話があった。お客様とともに価値をつくるためのブランドマネジメントとしては以下のとおりである。コマツウェイとして、ガバナンス編、モノづくり編、ブランドマネジメント編が示された。

●コマツウェイ:ガバナンス編(トップマネジメント5項目)

  • 1.取締役会を活性化すること
    少人数。社外の視点必須。報告→討議→決議とし、結論ありきとしない。
  • 2.全ステークホルダーとのコミュニケーションを率先垂範
    トップ自ら、顧客、株主、協力企業、社員、メディア、社会に情報を開示
  • 3.ビジネス社会のルールを順守すること
    「不正をするな」より「不正を隠すな」。バッドニュースをまず報告
  • 4.決してリスクの処理を先送りしないこと
    事業の選択と集中、そして必要な減損処理を早めに
  • 5.常に後継者育成を考えること
    次の次まで自分の後継者候補は考えておく

●コマツウェイ:モノづくり編

品質と信頼性の追求、顧客重視、源流管理、現場主義、方針展開、ビジネスパートナーとの連携、人材育成・活力の重要性が示された。

●コマツウェイ:ブランドマネジメント編

売れつづけるための戦略、お客様との関係性を7段階評価し、向上を図ることの重要性が示された。

コマツの顧客価値創造には、下記の具体例が示された。

  • ①イノベーションによる成長戦略:「環境・燃費」「安全」「ICT」
  • ②ダントツ商品:機械本体の向上、ハイブリッド、油圧ショベル
  • ③ダントツサービス:機械の見える化「KOMATRAX」
  • ④ダントツソリューション:施工の見える化「AHS」「ICT」

ダントツ商品とはいえ模倣される。そのために何を犠牲にするか?

<強さの源泉>

  • ・コマツウェイの3つの取り組みが連携し、企業価値創造と顧客価値創造につながっている。
  • ・新しい価値の創造、現場力で勝負、スマートコンストラクションなどのビジネスモデルで先行する。

[1]坂根正弘(2015):「ダントツの強みを磨け 私の履歴書」、日本経済新聞出版社。

その後、参加者はそれぞれのグループにわかれ、グループ討議に入った。グループ討論会では、リーダー、世話人のリーディングの下、自己紹介や各自の活発な意見交換が行われた。各グループはその後、それぞれ懇親を深めた。

グループ討論後(談話室/QCバー)の様子

2日め(12月4日)

<主催者挨拶>
佐々木 眞一 ((一財)日本科学技術連盟 理事長/トヨタ自動車(株) 相談役・技監)

佐々木 眞一 (一財)日本科学技術連盟 理事長/トヨタ自動車(株) 相談役

佐々木 眞一
(一財)日本科学技術連盟 理事長
トヨタ自動車(株) 相談役・技監

基調講演に先立ち、主催者挨拶としてトヨタ自動車相談役・技監の佐々木眞一氏より挨拶があった。

<基調講演>
日本の製造業再強化のために品質世界一の確立
~サプライチェーン全体で作る「安全・安心・信頼」のモノづくり~
田中 千秋氏 (東レ(株) 顧問)

田中 千秋氏 東レ(株) 顧問

田中 千秋氏
東レ(株) 顧問

最初に、最近のニュースをにぎわす品質問題について紹介された。

  • ・ゴム企業:SPEC偽装
  • ・エアバック企業:暴発事故
  • ・東芝:不正会計処理
  • ・住宅施工:不正なくい打ち問題
  • ・海外自動車:法規不適合の偽装
  • ・血液製剤:法規不適合

背景には利益優先、サプライチェーン全体で責任を持つ体制になっていない。品質に執念を燃やす人材が育成できていないことが考えられる。日本のものづくりの再生にあたっては、危機こそチャンスとの方向性も示された。

●日本の「モノづくり力」の国際的地位の低下→技術力では勝る日本が何故事業で負けるのか?

  • ・日本のモノづくり・製造業立国の基盤弱体に危機意識を
  • ・「欧米に追い付け・追い越せ時代」から「グローバル新時代の競争力強化」には、抜本的モノづくり産業構造改革が必要
  • ・サプライチェーン(バリューチェーン)全体でのモノづくり
  • ・後ろ向きの品質議論から真の顧客価値創造意識に
  • ・日本の製造業再強化をめざす品質世界一の確立

●「これからのモノづくり産業」

業種間分業 → 業種間連携

商流改革による新商品の拡大 → ユニクロ×東レの戦略的パートナーシップ
  → ここから生まれた商品がヒートテック

以上の説明から、今回のQCSグループ討議のテーマが提示された。

第101回 QCSグループ討議

  • 1.グローバル時代の品質競争力
  • 2.要求品質の多様化
  • 3.グローバル時代における現場力の強化策

最後に、講演者の田中氏が師と仰ぐ、西堀栄三郎氏の「技士道 十五ヶ条 ものづくりを極める術」[2]を紹介され、講演は終了した。

[2]西堀栄三郎(2008):「技士道 十五ヶ条 ものづくりを極める術」、朝日新聞社。

<講演1>
安全な電力貯蔵用リチウムイオン電池が世界を救う
吉田 博一氏(エリーパワー(株)代表取締役社長)

吉田 博一氏 エリーパワー(株)代表取締役社長

吉田 博一氏
エリーパワー(株)代表取締役社長

住友銀行の副頭取から慶応大学大学院の教授に就任。

将来、安全な蓄電池が必要との想いから59歳でエリーパワー(株)を4名で設立。現在の従業員数は約200名。ただし、本当に蓄電池の技術を知っているのは、そのうちの2名だけとの紹介もあった。定年後、何も仕事をしないままの高齢者ではまずい。年齢に関係なく社会に貢献できることが、ベンチャーの新しい形でもあるとの考えも紹介された。

●想いから創業、新しいベンチャー

  • ・エネルギー新時代には蓄電池が必ず伸長する
  • ・常識にとらわれない製品・設備開発、世界一の安全設計
  • ・知財を守る
  • ・独自のバリューチェーン:材料から最終処理までの総合企業
  • ・マーケットの創造:顧客ニーズに頼らない製品創造

エリーパワー社の資本構成は、大和ハウスを筆頭にその理念に賛同いただいた一部上場企業となっている。大手ファンドの出資が少ないことが特徴である。とくに、当社の蓄電池の特徴は、「安全」「性能」「コスト」であり、そのためには下記を推進した。

  • ①完全自動化量産工場 → 人の手を介さない生産
  • ②知材を守る戦略 → 工程ごとにバラバラで発注し、ノウハウは社内で管理
  • ③独自のバリューチェーンを構築 → システムで販売、ネットで監視
  • ④電池の最終処理のスキームを確立 → CO2や核燃料は技術未確立

吉田さんが営業時代に感じられたことを『エリーパワー十則』にまとめられていた。毎日唱和するとのことであるが、吉田さんの誠意の伝わる十則であると考える。

また、日常の業務の中では、品川区大崎にある本社、川崎の工場、滋賀・瀬田の研究所で、2週間ごとにディスカッションを繰り返し、30代の技術者が150億の工場建設を任されており、社内の技術者が辞めていないことが嬉しいと述べられ、若い人材が育っていることをほほえましく思っているお姿が、とても印象的であった。

<強さの源泉>

  • ―独自性のある取組みが、他社がマネできない、世界一の安心・安全を実現している
  • ―69歳で起業、夢・想いを実現するベンチャー企業

<講演2>
デンソーの「信頼と革新」のモノづくり
有馬 浩二氏((株)デンソー 取締役社長)

有馬 浩二氏 (株)デンソー 取締役社長

有馬 浩二氏
(株)デンソー 取締役社長

有馬社長は、説明がとても丁寧で朴訥な方であった。製品領域は以下のとおりで、パワトレイン機器、熱機器、情報安全、電子機器、モーター、非自動車であり、その種類は37万点にもおよぶ。

デンソーの「信頼と革新」のモノづくりの“こだわり”は、下記の4つといえる。

  • ①内製技術へのこだわり
    • ◇生産技術・設備の内部留保
    • ◇「モノづくり」で重要なのは「技術」と「人(技術者・技能者)」
  • ②生まれの良い製品/設備づくり
    • ◇コンカレントエンジニアリング
    • ◇技術と技能の融合
  • ③現場でのたゆまぬ改善
    • ◇段ボールシミュレーションなど
  • ④モノづくりを支える人づくり
    • ◇生産のキーワード 加工設備のI/N  同期一貫化
    • ◇小集団活動(QCサークル、アクティブミーティング)を活性化
    • ◇革新工場づくりにI/NマシンやファクトリーIoTの導入

<強さの源泉>

  • ―こだわりを支えるモノづくりの「技術」と「人」:徹底的に現場力強化に挑む

<講演3> TOTOの品質への拘りと、拘りの技術
猿渡 辰彦氏(TOTO(株) 代表取締役副社長執行役員)

猿渡 辰彦氏 TOTO(株) 代表取締役副社長執行役員

猿渡 辰彦氏
TOTO(株) 代表取締役副社長執行役員

この方の話術は素晴らしかった!たかがウォシュレット。されどウォシュレット!!すごいこだわりの技術が詰まっていることが感じられた講演であった。

  • ―見えない品質、隠れた技術:完成への訴えと見た目では模倣できても、機能では模倣できない
  • ―科学する文化:感性とエコを両立させる製品→新フィールドへの挑戦

●TOTOのこだわり

  • ①衛生陶器:徹底節水 → トルネード方式の採用。ナノオーダーの表面改質、流体解析の活用
  • ②水洗金具:節水なのに潤沢 → 1.8㍑/分で、5㍑/分なみの潤沢感の実現
  • ③シャワー:節水なのに快適 → 8リットルで13リットルの量感を噴流の工夫で実現
  • ④ウォシュレット:待機電力ゼロへの挑戦 → 瞬間に便座を温める技術の開発
  • ⑤ウォシュレット:絶え間なき進化 → 多機能化への進化
  • ⑥ウォシュレット:高信頼性高密度実装技術 → この技術でボーイング777から採用

●TOTOの科学する力

  • ①除菌水洗浄 → 水道水から0.5ppmの次亜塩素酸を生成
  • ②水垢防止 → 水滴内で何が起きているのかを解析

●新フィールドへの挑戦

  • ①ウンチからの健康診断 → 便計。将来の技術として紹介された!

<強さの源泉>

  • ―こだわりが品質や技術、科学的アプローチなどの取組みレベルを高め、それがイノベーションや新しい価値創造につながっている
  • ―見えない品質にはじまり、物理現象の科学的解析から生み出されるラージQの追究こそが、日本の生きる道

<講演4> アサヒビールにおける最高品質提供のための取り組み
~安全・安心・信頼のものづくり~
川面 克行氏(アサヒグループホールディングス(株) 代表取締役副社長)

川面 克行氏 アサヒグループホールディングス(株) 代表取締役副社長

川面 克行氏
アサヒグループホールディングス(株) 代表取締役副社長

会社に入社された時は、業績は下方。当時は、アサヒビールではなくユウヒビールと言われていたとのこと。

しかし、1900年からのスーパードライによる驚異的な復活を遂げた。途中は、キパワトレイ機器リン「一番搾り」との戦い。酒税制度に翻弄される業績はあったものの、常に品質にはこだわりつづけた。

●生産工程における品質管理のポイントは、

  • 官能パネリストの存在と訓練
  • 日々の化学分析項目 → 三大異液分析
  • 酸化防止
  • 味の均一化
  • 食の安全・安心のために
  • すべては顧客価値の実現のため

<強さの源泉>

  • ―品質、味、おいしさにこだわる徹底した取組みで「お客様への約束」を実現している

講演のまとめ

  • ・顧客価値の実現に向け、強い理念や想いのもと、各社独自の「こだわり」「ウェイ」をもってイノベーションに挑む
  • ・その「こだわり」「ウェイ」が、モノづくりを支える取組み・行動の軸になり、品質、技術、イノベーションを向上させている
  • ・サプライヤーからカストマーに至るサプライチェーン全体でのモノづくり

<グループ討論>

各グループの議論の要約を以下に記載する。

第1班「日本の製造業再強化に向けて、多様化するサービス要求への対応」

多様化するサービス要求の事例を提示

  • ・製造業再強化にむけては、競争優位のための徹底したこだわり品質の実現
  • ・再発防止を確認するためのツール・標準化
    • 開発設計の標準:再発防止の背景を理解できるもの
    • 現場の作業標準:守り、守れるすなわち実行運用できる内容
    • 最終的には、商品力=製品力+サービス力

第2班「サプライチェーン全体で作るモノづくり

  • 1.調達先への対応、海外の調達先に問題が多く、これを中心に議論
  • 2.新製品開発への工夫
  • 3.IoTについて

第3班「グローバル市場への品質要求の多様化と対応」

  • [論点1]国・地域ごとに異なる品質要求に対応できていない要因を連関図で提示
    • 高度経済成長期の成功体験が邪魔をする
    • 国・地域ごとにニーズや実情が異なることについて認識不足
  • [論点2]安全・安心・信頼のための組織全体でめざすべき姿とは
    • 方向性を明確にする。
    • 目標達成のための能力の向上と人の育成
    • バリューチェーンを意識した取組み
    • 真のグローバル企業をめざす
  • [論点3]具体的にどのような行動・取り組み・経営が求められるか
    • トップによる方針策定と現地訪問
    • 全体戦略とTQMの活用
    • クロスファンクショナルな活動の強化
    • 現地人材の育成、グローバル人材の育成、情報技術・データの活用

第4班「グローバル時代のものづくりの在り方とその役割」

下記について議論を深めた。

  • ・マザー工場の現状
  • ・マザー工場の問題意識
  • ・これからのマザー工場に求められる役割
  • ・グローバル時代のものづくりに求められるもの

第5班「グローバル時代に求められる真の現場力とその強化」

  • ・現場力はどう変化したか:確実に弱くなっているとの認識
  • ・現場力が劣化/弱体化したのは何故か:働く人の意識、価値観の変化/現場を取り巻く環境の変化/グローバル化の進展/モノづくりの多様化・複雑化
  • ・グローバル時代に現場力を構築していくには
    • 1)強かった現場力を取り戻すためには
    • 2)新しい現場力を確立するためには

第6班「グローバル時代における、人を惹きつける国内現場力の強化」

経営者、管理者、監督者の各レベルにおいて、人を惹きつけるとは何かを検討

各グループの討議の様子

<夕食懇親会>

グループ討議の途中ではあったが、参加メンバーの懇親を目的に約1時間の夕食懇親会が開催された。

田中主担当組織委員の乾杯でスタート。食事をともにしながら懇親を深めた。

3日め(12月5日)

<グループ総合討論>

発表の趣旨をまとめると以下のようになる。これらをもとに総合討論の中で活発な討議が行われた。

第1班「日本の製造業再強化に向けて、多様化するサービス要求への対応」

  • ①新技術開発に必要な資源の確保
    ⇒守りの品質問題について再発防止を確実にする。(現場の再発防止の強化)
  • ②再発防止を確認するためのツール・標準化
    二種類の標準の使い分け
    1)開発設計に関する標準、2)現場の作業標準
  • ③製造業再強化のためのTQM推進の工夫
    [商品力 = 製品力 + サービス力]

第2班「サプライチェーン全体で作るモノづくり

  • ①調達先:海外調達の難しさと、求められる対応の仕方
  • ②新製品開発:ニーズ・シーズの集め方・内容/実験・販売予測/絶対的競争力/過剰品質の防止
  • ③IoT:ビジネスへの活用のしかた

第3班「グローバル市場への品質要求の多様化と対応」

  • ①要因:過去の成功体験、実状理解不足、重点化不足
  • ②対策:トップによる方針策定と現地訪問、全体戦略とTQM活用、
    クロスファンクショナル活動、現地/グローバル人材育成、
    ICT・データの活用

第4班「グローバル時代のものづくりの在り方とその役割」

  • ①マザーの役割:コア技術確保、グローバルな技術標準、チャイルド工場とのすり合わせ
  • ②人材育成:技能教育、言葉の壁の解消
  • ③市場に合わせた安心安全基準:顧客視点、技術力、良品条件・判断基準
  • ④サプライヤーの品質確保:サプライヤーの育成

第5班「グローバル時代に求められる真の現場力とその強化」

  • ①強かった現場力を取戻す:組織団結力、部門内外コミュニケーション、考える力/問題解決力、人材育成=投資
  • ②新しい現場力を確立する:若手の未知能力を伸ばす、加点評価、ビジネスモデルを具現化する力、多様性

第6班「グローバル時代における、人を惹きつける国内現場力の強化」

  • ①社会的育成制度
  • ②現場(リアリティ)の体得
  • ③OB活用と社内トレーニング
  • ④ものづくりの原理原則のちがい
  • ⑤マザー工場の定義
  • ⑥プライヤーとの関係明確化

<第101回品質管理シンポジウム・まとめ>
田中 千秋氏(101QCS主担当組織委員/東レ(株) 顧問)

討議の締めくくりとして、田中主担当組織委員が下記のとおり論点をまとめられた。

  • ○日本経済の再生には「モノづくり産業」の強化が必須
  • ○常に顧客価値の創造に向けた連携と融合が重要であり、“ from supplier to partner ”“ direct partnership ”
  • ○モノづくり力強化に徹底的にこだわり「技術と技能の融合による現場力強化」と「感性と機能向上の科学」を導入
  • ○来るべきIoT新時代への備えを
  • ○経営トップが品質世界一を経営戦略に

シンポジウムを振り返って

日本のモノづくりの弱体化が叫ばれて久しいが、今回の講演事例や、宇宙航空分野では、MRJ初飛行の成功や、ホンダジェットの型式認定取得、宇宙ステーション補給機「こうのとり」での国際宇宙ステーションへの物資運搬の成功や、医学・生理学賞で北里大学特別栄誉教授の大村智さん、物理学賞で東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授が受賞されるなど、ノーベル賞における日本人受賞者が相次ぎ、まだまだ世界に誇る技術は日本に存在している。その成功のキーワードはすべて「こだわり」であると思う。徹底的に技術、技能にこだわることで、世界に誇れる成果を出せるという自信を感じた3日間であった。

小職が第92回品質管理シンポジウムで講演したテーマも、ホンダの二輪車開発での「こだわり」がテーマであった。

本田技研の創業商品である二輪車。その開発を担っている二輪R&Dセンターにおける商品開発へのこだわりとは何か?について、実例を交えてその本質を語った。

その要旨は、第一に、技術をもって人の役に立つ商品、大衆に受け入れられる商品へのこだわりであり、社会に貢献できる企業でありつづけること。第二に、使っていただいたお客様に迷惑をかけない品質へのこだわりであり、120%の品質保証という考え方。そして第三に、開発を通じて、世界に通用する人材育成へのこだわりである。

日本のものづくりの危機が叫ばれる中、良品の国境なしを基軸とし、商品のグローバル化に対応した開発の在り方を探った。

  • ①技術をもって人の役に立ち、大衆に受け入れられる商品へのこだわり
    • ・社会に貢献できる企業であり続けること
    • ・お客様に買っていただいてこそ商品
  • ②使っていただいたお客様に迷惑をかけない品質へのこだわり
    • ・120%の品質保証という考え方
    • ・技術者としてあらゆる場面を想定した準備
  • ③すべての人に平等に与えられているのが時間。二輪はとくにスピードにこだわる
    • ・スピード感を持った行動が最大の武器
    • ・常に開発と市場不具合解析のスピードを上げる努力
  • ④開発を通じて、世界に通用する人材育成へのこだわり
    • ・開発の中心は人
    • ・人のマインド・スキル・センスを磨く

とくに、人材育成が重要で、その結果、以下の心構え5か条も定め運用している。

<心構え5か条>

  • Ⅰ.常にお客様の視点で考える
     *仕事の最終目的はお客様の喜びと満足である。それが自己の充実にもつながる
  • Ⅱ.時間(スピード)の大切さを知ること
     *すべての人に平等に与えられているのが時間。うまく使える人が成長する
  • Ⅲ.現物は正直、大切にしよう
     *物は絶対にウソをつかない。こんなに信頼できるものは他にない。大切にしよう!
  • Ⅳ.相手に誠意を持って伝える
     *自分だけ知っているのではダメ!人に伝えて動いてもらって初めて仕事になる。
  • Ⅴ.自己研鑽を忘れぬこと
     *自分の価値を高める努力が、結果大きな成果と満足を生む!
ホテルから清々しい富士山がみえた

ホテルから清々しい富士山がみえた

多くの参加者にとって有意義なシンポジウムになったと考えるが、私にとっても、講演者のこだわりに共感でき、大変有意義なシンポジウムであった。全員参加による報告会のあとは、清々しい晴天に恵まれ、最終日のホテルからは、雪化粧の富士山を眺めることができた。

◆次回、第102回品質管理シンポジウム

2016年6月2日(木)~4日(土)「感動と安心への品質創造と品質保証―ICTを活用した地球規模での感動・安心の創出―」をテーマに開催される。主担当組織委員を務めるのは電気通信大学教授の鈴木和幸氏。Webジャーナル『クオリティマネジメント』では、次回の第102回品質管理シンポジウムについても、テーマや趣旨について紹介する。こちらもお楽しみに。

※画像クリックで拡大できます。 100QCS 開催プログラム
第102回品質管理シンポジウムのご案内
 
図3.企業における付加価値の変化
鈴木 和幸 氏(102QCS主担当組織委員)
電気通信大学 教授
  • ※所属、役職は、すべてシンポジウム開催当時のものです
  • ※「第102回品質管理シンポジウム」
    日 程:2016年6月2日(木)~4日(土)
    テーマ:「「感動と安心への品質創造と品質保証―ICTを活用した地球規模での感動・安心の創出―」
    品質管理シンポジウム専用サイト:http://www.juse.or.jp/qcs/











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