クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年1-3月(No.16) > スペシャルインタビュー >NTN(株)大久保 博司氏

『東海道・山陽新幹線時刻表』という60ページほどの小冊子がある。文庫本より一回り小さい手のひらサイズ。新幹線の切符を扱う窓口などで無料配布されている。一方から開くと上りの時刻、天地をひっくり返してもう一方から開くと下りの時刻がわかる。東京、博多間を新幹線で移動するビジネスパーソンには重宝する。その表紙と裏表紙、さらにそれぞれの裏側の計4ページは軸受や等速ジョイント製造で知られるNTN(株)の企業広告が彩る。「上り」ダイヤの表紙には「新幹線と共に走りつづける、NTNのベアリング」というコピーが踊る。「普段、目に触れることのない商品だけに、少しでも会社のことを知っていただき、興味をもっていただければありがたい」。大久保博司社長は地道な知名度向上策の効果に期待を寄せる。業界では珍しい財務畑出身の大久保社長に、創業100年に立ち合う意気込みを聞いた。

(取材:伊藤公一)

国内外の航空宇宙、鉄道業界が認めた技術力

――時刻表のコピーが誇らしげに謳(うた)うとおり、なんらかの都合で貴社の商品が届かないと、新幹線は走ることができません。責任重大ですね。

NTN(株) 本社ビル(大阪府大阪市)
NTN(株) 本社ビル(大阪府大阪市)

大久保氏(以下略):そういうことがないように万全の体制で臨むのが当社の負うべき社会的な使命だと思います。当社の成長は産業機械で培ってきた技術力を自動車に生かしたことで飛躍的に弾みをつけました。近年は宇宙航空分野でも実績を着々と重ねつつあります。

最近では、昨年11月に初飛行に成功した「三菱リージョナルジェット(MRJ)」のエンジン用ベアリングをはじめ、世界の四大ジェットエンジンメーカーに採用されています。日本国内のベアリングメーカーでは、当社が唯一、同四社からサプライヤ認定を取得しています。12月にカナダの衛星を載せて打ち上げに成功したH‐ⅡAロケットの液体酸素と液体窒素を混合する装置などのベアリングも手がけました。そのH‐ⅡAが打ち上げた「はやぶさ」と「はやぶさ2」の太陽電池パネルを開く関節部分にも当社商品が使われています。

鉄道車両分野では国内ばかりでなく、海外における規格の認証取得を積極的に進めています。グローバル展開をめざす当社のビジネスの基礎だからです。とりわけ、国際的にも厳しいIRIS(国際鉄道産業標準)を日本で取得しているのは当社だけです。

――航空機も鉄道も自動車も、貴社のかかわる商品や部品に共通するのは人命を預かるということです。安全、安心の対策やそれを支える技術、品質の向上にはどのような手立てで臨まれていますか。

NTNの主要商品
NTNの主要商品

量的に多い自動車向けの足回りではハブベアリングが世界シェア首位、等速ジョイントは同じく2位の座にあります。その分、人命にかかわる責任も重いということです。このため、品質管理にはとくに厳しい態度で臨んでいます。

まず、グループ会社や協力企業に対する品質管理教育を徹底的に行っています。次に、重要部品についてはISO 9001やISO 14001、ISO/TS 16949など、規格認証の取得を積極的に推進しています。

情報管理の面では、独自の「品質情報管理システム」を全社に広げて活用しています。たとえば、営業部のスタッフが登録した情報は製造部門だけでなく、技術部門でも品質管理部門でも見ることが可能です。メールや電話という個別対応ではなく、すべての部署で把握できるのが利点。問題の一元管理や再発防止の教育にも役立てています。

人財の面では、QCサークル活動が大きな成果をあげています。2011年からは国内外の予選を勝ち抜いたチームが活動の成果を競う世界大会を毎年日本で開いています。あわせて、生産技術と製造技能の底上げをねらいとする「NTN技能オリンピック」を一昨年に立ち上げました。これも国際的な取組みです。現在、競技は6種目あり、それぞれの作業の段取りの速さや加工の精度などを競います。たとえば、同じ旋盤を使って行う機械の調整を含めた精度出しや、熱処理の際の火の色による温度予測などが評価の対象になります。こうした取組みは、参加者の技術を磨くだけでなく、モチベーションを上げるねらいもあります。

「NTN技能オリンピック」
国際的に生産技術、製造技能の底上げをめざす

「世界QCサークル大会」
グローバルにQCサークル活動を展開している

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