クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年04-06月(No.17) > 連載 >日本品質奨励賞への道(マルヤスエンジニアリング)Part1

「つくるものを造るものづくり」で存在感訴える

山田 信二 氏
株式会社マルヤスエンジニアリング
代表取締役社長 山田 信二(やまだ しんじ)氏

「名は体を表す」という。㈱マルヤスエンジニアリングはその名のとおり、チューブなどの自動車部品を手がけるマルヤス工業㈱の工機部門が母体である。1994年に本体から分離独立すると、ワークヘッド・ヘッドユニット(型・治具)や製造ラインの設計製作、メンテナンスなどを一貫して行うエンジニアリング会社として事業を拡大。2014年度には約42億円という、創業以来最高の売上高で設立20周年の節目に花を添えた。TQM活動を通じた「つくるものを造るものづくり」を掲げる山田信二社長の顧客指向の経営姿勢は現場にも深く浸透し、「2015年度日本品質奨励賞 TQM奨励賞」に実を結んだ。マルヤス・セキソーグループの要職も兼ねる山田社長に、受賞に漕ぎ着けるまでの取組みや心構えなどを聞いた。(取材:伊藤 公一)

“第三者”に認められれば本物の証(あか)し

――貴社は設立の経緯からマルヤス工業系ですが、㈱セキソーを含むグループのエンジニアリング会社としてもなくてはならない存在ですね。

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山田氏(以下略): 簡単にいえば、当社の存在意義はマルヤス工業、セキソー両社と国内外の関連会社に独自技術の設備や金型を幅広く供給し、メンテナンスすることにあります。組織的には「つくるものを造る設計」「つくるものを造る製作」「良い状態を維持する」という3つの事業部から成り立っています。

マルヤス工業は燃料系、ブレーキ系、排気系にかかわる製品が主力。セキソーは音、振動、環境周りの製品群を扱っています。製品が異なっても、自動車産業を担うという点で、両社は一心同体です。生産技術も海外戦略も共通の部分が多い。ですから、両社および関連会社との仕事を通じて蓄積された製造ノウハウはグループの中で有機的に活用されているし、それが人財面を含めた当社の成長を促していると思います。

マルヤスエンジニアリング 主要製品
(以下、写真提供:㈱マルヤスエンジニアリング)

――「お客様が安心して発注できる工場づくり」という貴社のスローガンの真意は。

無論、この場合のお客様とはマルヤス工業であり、セキソーであり、それぞれの関連会社であります。マルヤス・セキソーグループは、もともと「全員で良いものつくろう! らくらくリズミカルに」という取組みを進めていました。当社が設備や保全にかかわる3つの事業部を置いているのは、それぞれの部門がグループの考え方に沿ってきっちりと役割をはたし、一定の成果を導けるようにするのがねらいです。その心構えを示すために掲げているのが「顧客指向のつくるものを造るものづくり」です。これはTQM活動に臨む基本でもあります。

しかし、ビジネスの相手がグループ会社であるということは継続的に密度の高い仕事ができる半面、グループの外からの評価はわかりにくい面があります。つまり、本当の実力を測る手立てがない。そこで、第三者の立場で公平に審査してもらえば、客観的な評価が得られるのではないかと思ったのです。身内ではなく、第三者に認められれば本物の証(あか)しといえるのではないか。今回受賞させていたTQM奨励賞にはそんな気持ちで挑みました。誤解を恐れずにいえば、最初から「取ってやろう」などという大それた魂胆はなかったですね。

経営の根底に息づく佐吉翁の強い想い

――2014年にはセキソーがデミング賞を受賞するなど、グループ内でTQM活動に対するある種の機運が盛り上がっているように感じます。

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それはたしかにあります。昨年度のデミング賞は直接的にはセキソーが挑んだけれども、その工場に据え付けられた設備や型は当然のことながら当社が手がけたものが大半です。もちろん、メンテナンスも。当社が設備や保全をとおしてセキソーに深くかかわっていることで、連帯感のような意識は自然と芽生えましたね。セキソーの取組みを受けて積極的に展開した品質を中核とする当社のTQM活動は、「顧客指向」で環境の変化に対応できる企業体質への変革を後押ししました。

――TQM活動を進めていく上では、どのような点に留意されたのですか。

端的にいえば、当社のアイデンティティーを訴えることです。当社はエンジニアリング会社として、素材から完成品に至る工程の順序で一個流しを意識した製造ラインをつくり、加工点では可視化技術を向上させ、加工の最適化を追求してきました。その根底にはトヨタグループの礎を築いた豊田佐吉翁が自らの発明であるG型自動織機に託した強い想いが息づいています。これを当社の原点として、「絶対に不良品はつくらない」「ニンベンの付いた自働化」はもとより、顧客指向を基本に据えたさまざまな取組みを実践してきました。

その延長で、たとえば、働く人に対しては徹底的な操作性を、保守・保全の人に対しては分解点検のしやすさを構想設計段階から織り込み、営業的試験をとおして「お客様の利益に貢献できる」と自信のもてる製造ラインにして提供することを可能にしました。

――TQMの導入はどのような成果をもたらしましたか。

方針管理体系図を明確に構成し、経営目標の確実な達成のために方針を策定し、展開から実施、評価に至る仕組みを確実なものとした効果は大きいと思います。

また、「新技術開発管理体系図」を基にした「構想検討書」「営業的試験」「可視化技術」による良品条件の見える化などは、当社のめざす「顧客指向」のものづくりのための新技術開発の成功を導きました。人財育成体系の整備を図る中で進めた「QC的ものの見方・考え方」と「QC手法」による改善活動の実施や「塾・道場教育」などは、ものづくり力を強めるのに役立っています。

製造現場における「なんでも改善」とQCサークル活動、「ワークヘッド(位置・こと)管理」や「ヘッドユニットリビルドカレンダー」など、効果的な設備メンテナンスにねらいを定めた全員参加による積極的な改善活動にも弾みがついています。

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