クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年07月-09月(No.18) > コラム・エッセイ > 温故知新「品質管理と信頼性のむすびつき」(3)
温故知新 石川馨先生からの時を超えたメッセージ

1950年に創刊し、日本の産業界の歴史とともに歩んだ月刊『品質管理』誌から、その当時の実情を知ることができる興味深い文献、今にも通じる真理など語り継ぎたい文献を『石川馨先生からの時を超えたメッセージ』としてお届けします。当時の読者の方に向けて語ったことを現代の読者の皆さんはどう感じられますか?

『品質管理』1961年7月号 「1961年QC特別討論会・特別講演」より

品質管理と信頼性のむすびつき(3)

石川 馨氏(東京大学 教授)

  • ※掲載内容、聞き手、話し手の所属は、1961年(昭和36年)の掲載当時のものです。
  • ※掲載にあたり、現代仮名遣いに改めるほか、用字用語の統一や誤字修正を行い、読みやすさに配慮して再編集を行いました。

信頼性のバランス

つぎに信頼度のバランスの問題がありますが、これについては私自身非常に面白い経験がありますから話してみますと、ちょうどジュランが1956年に来た時の話ですが、彼がこういう話をした。電気冷蔵庫の話で、アメリカのある電機会社で冷蔵庫をつくっている。それで2年間の保証期間をつけておる。保証というのは、その期間は無料で修理するわけであります。そのあとどのくらい無償で直してコストがかかっているか計算してみた。ところが、相当かかっているということがわかった。そこでどうしたかというと、それでは先にそれだけの金をかけてしまおう。ですから設計品質をもっとよくして、あと故障の起こらないものをつくった方が得ではないかということになり、修理の費用の分だけ、最初に製品に良い品質、壊れないような品質をつくり込んでしまうことになった。

したがって、従来はビス止めにしてあってすぐ修理ができるようになっていたのを、今度は電気熔接にしてしまったという話です。要するに製品自身の寿命をどのくらい保たせるかという問題と、それからあとサービス・ステーションをどれだけ置くか、保守にどれだけ金をかけるかという問題です。最初に良い材料を使い、金をかけた方がよいか、部品を安くしておいて早く交換した方がよいか、という売ったあとまでを考えた信頼性の総合性、バランスの問題です。

実はこういう話を聞いて、修理しなくてよいのならアメリカ製も大丈夫だというので、私はすぐアメリカのセコハンの電気冷蔵庫を買ったのであります。もっとも買ってから8、9年になりますが、そういわれるだけあって冷凍機は1回も故障がない。ところが、つい昨年(1960年のこと)でございましたが、把手が壊れてしまった。冷凍機がいくら動いても把手が壊れますと致命欠陥でありまして、中へいくら入っていても出せない。これはアメリカの製品の例でありますが、寿命のバランスの問題、たとえば扇風機であれば首振りがすぐ壊れてしまうとか、スイッチが壊れてしまうとかいう信頼性、寿命のバランスの問題が一体どこまで考えられて設計され、つくられておるのかという点を私は身をもって痛感したのであります。日本の製品にはそういうのがよくあります。あるところは非常に強い。大体技術屋が関心を持ちそうなところは割合強くて、蝶つがいとか、把手とかいうようなところはすぐ壊れてしまう。ここらあたりにも信頼性というものをどこまで考えて一体品質管理をやっておられるかということを疑いたくなるような製品にぶつかるわけです。

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