クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年10月-12月(No.19) > コラム・エッセイ > 温故知新「品質管理と信頼性のむすびつき」(4)
温故知新 石川馨先生からの時を超えたメッセージ

1950年に創刊し、日本の産業界の歴史とともに歩んだ月刊『品質管理』誌から、その当時の実情を知ることができる興味深い文献、今にも通じる真理など語り継ぎたい文献を『石川馨先生からの時を超えたメッセージ』としてお届けします。当時の読者の方に向けて語ったことを現代の読者の皆さんはどう感じられますか?

『品質管理』1961年7月号 「1961年QC特別討論会・特別講演」より

品質管理と信頼性のむすびつき(4)

石川 馨氏(東京大学 教授)

  • ※掲載内容、聞き手、話し手の所属は、1961年(昭和36年)の掲載当時のものです。
  • ※掲載にあたり、現代仮名遣いに改めるほか、用字用語の統一や誤字修正を行い、読みやすさに配慮して再編集を行いました。

使い方と手入れ方法

次に、ぜひ皆さんにお話しておきたいのは手入れの問題であります。使いっぱなしではその設備は壊れてしまう。私の経験をよく申し上げるのでありますが、ちょうどいまから8年ほど前にドイツの車、フォルクスワーゲンを買ったのであります。いつも自慢をいうのでありますが、手入れのインストラクション・ブックがついておりまして、2,500キロごとにオイルを全部取り換えてくれ、5,000キロごとにインスペクションをやってくれ、このようなインストラクションがついております。ところがああいうインスペクションは素人がやってもなかなかいいか悪いかわからない。電話局の品質管理で、予防保全をやりPMでいじると悪くなるという例があります。これは折角点検しても良い悪いの判断がむずかしいからです。私自身は、一度も車の下にもぐったことはありませんが、よくお買いになると潜ることに興味をもって潜られる方がありますが、私は乗るために買ったのだから潜らないということにしております(笑)。5,000キロごとにインスペクションに出しておりますが、過去8年間、今までエンコしたということは1回もありませんといって威張っておりましたが、昨年とうとうエンジンの中のある部品が摩耗して1回だけエンコしました。エンジンを一々開けて点検しておったならば金がかかってしょうがありませんから、摩耗してから取り替えた方が経済的だと思っていますが、それが1回だけです。日本の場合、自動車メーカーがいろいろインスペクションの基準をつくっておりますが、日本の消費者はそれをやらないで壊れたらばもってきて直すというふうですから手入れ方法が悪いわけです。一方その手入れ方法をみますと、手入れ方法に相当無理がある。これは運輸省にも責任がある。たとえば750キロごとにオイルを替えて点検し、車をみがけとある。1,500キロごとにどうしろといっております。私が考えると先程いったように2,500キロごとにオイルを全部取り替え、5,000キロごとにインスペクションをやる。それでも面倒くさい。車を磨くなどということは8年間ほとんどやったことがない。それを750キロごとにやるというのは面倒くさいし、金もかかってできない。そんなにお前のところの車は寿命に自信がないのか、それでは面倒くさいからお客さんは守れない、守れんような保守基準をつくるということがいけないんじゃないだろうかということが考えられると思います。こういうようなところがいろいろな製品について考えられると思います。この点、日本で遅れておりますのは計測器メーカー工作機メーカーなどであります。これが信頼性という問題をどこまで考えておるか、設備管理はそれらの消費者である各社も苦労してやっておりますが、大体寿命のデータをとると、とった時分には新しい設備が入ってきて、いつまで経ってもデータが使えないというのが実情であります。そこで皆さんにお願いしておきたいのは、わが国の工作機メーカーとか、装置メーカーとか、あるいは計測器メーカーに品質管理的センスが遅れておりますので、皆さん方がそれをお買いになる時に手入れのインストラクションをよこせということをせいぜい要求していただきたい。そうすると少しはそのような遅れたメーカーも品質管理的になってくるのではないかと思いますので、この席を借りてお願いしておきたいと思います。

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