クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年10-12月(No.19) > スペシャルインタビュー >味の素株式会社 西井 孝明氏

池田菊苗と鈴木三郎助。看板商品名であり、会社名でもある「味の素」の源流を辿ると、二人の創業者の名前に行き着く。1908年に池田氏が発見した、味の素の主成分であるアミノ酸の一種、グルタミン酸ナトリウムの工業生産を鈴木氏が申し出たことで翌年、味の素は製造事業をはじめた。「佳良にして廉価なる調味料を造り出し滋養に富める粗食を美味ならしむること」(池田氏)という創業者の志は今日のグループ理念である「おいしく食べて健康づくり」に連綿と引き継がれている。消費者向けの製品ばかりでなく、食品加工会社用の原料も手がける立場から、食品安全や品質保証に対する格段に厳しい姿勢は他社の追随を許さない。自らも幾多の現場に立ち合ってきた西井孝明社長に品質保証の要点などを聞いた。

(聞き手:伊藤 公一)

1908年「うま味」を発見した池田菊苗氏
味の素グループ創業者 二代 鈴木三郎助氏

グローバル食品企業のトップテン入りをめざす

――グルタミン酸由来の「うま味」は、2013年和食がユネスコの無形文化遺産として登録されたことを契機に、より広く世界で知られるようになりましたね。

西井氏(以下略):甘味、塩味、苦味、酸味に次ぐ第5の基本味である「うま味」の存在は創業当時から知られていました。日本ではおなじみの味覚です。ところが、昆布の味になじみが薄い欧米では受け入れられなかった。しかし、2000年に米国・マイアミ大学が人間の舌にグルタミン酸の受容体があることを発見したことで科学的に裏づけられました。今日では「Umami」として著名な英語の辞書にも載っていますし、国際的な学術用語として公式に使われてもいます。

味の素(株)本社(東京都中央区)
味の素(株) 主要商品の一部

――貴社は1917年のニューヨーク事務所を皮切りに、創業間もないころからアジア各地や欧米地域で積極的に海外展開されています。ご自身もブラジル味の素社長や、ラテンアメリカ本部長などを歴任されていますが、国際企業としての目標はなんですか。

当社では「私たちは地球的な視野にたち“食”と“健康”そして“いのち”のために働き、明日のよりよい生活に貢献します」というグループ理念を掲げています。それを踏まえたグループビジョンでは「私たちは、お客様に役立つ独自の価値を創出し続ける『グローバル健康貢献企業グループ』を目指します」と謳(うた)っています。

いずれもキーワードは、グローバルです。現在、27の国と地域で事業展開し、130を超える国と地域に製品を展開しています。地域別の売上高構成比は日本46%、アジア26%、米州17%、欧州11%――の割合(2015年度)。先行き、2020年までにグローバル食品企業のトップテンに入ることをめざしています。

――グループの品質方針でも「安全で高品質な商品・サービスを通じて、世界のお客様のよりよい生活に貢献します」と強調されていますね。

商品の安全と品質の確保は、食品を扱う企業として当然の責務です。このため、すべての商品やサービスを対象として、1997年に制定した独自の品質保証システム「ASQUA(以下、アスカ)」を適用して原料調達から販売に至るまで厳しい品質保証を行っています。アスカは、「Ajinomoto System of Quality Assurance」の略称です。

――アスカはどのような経緯で定められたのですか。

アスカは、品質マネジメントシステムの国際規格「ISO 9001」をベースに、食品衛生管理基準の一つである「HACCP」、適正に製造するための各種「GMP」など、製造の管理基準と味の素グループ独自の考え方や基準を付加して構成されています。味の素グループのブランドに相応しい品質レベルを保持するために、HACCPやGMP以外にも教育、表示、包材、トレーサビリティなど、現在28の基準書を制定しています。GMPはグループが販売する製品の製造管理に関する基準を示すもので「Good Manufacturing Practice」の略称です。

味の素では、1994年からの国内各工場におけるISO 9002およびHACCP導入を踏まえ、従来の製造・検査中心の品質管理から、企業活動全体での品質保証システムの構築を進め、1997年にアスカを制定しました。2000年頃に国内乳業メーカーで食中毒事件が発生し、また、当時連結経営が導入されたこともあり、アスカ適用の対象を味の素だけでなく国内外の味の素グループへ拡大し、アスカの浸透を図ってきています。

「アスカ」の構成

「アスカ」の文書体系

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