クオリティマネジメント Quality Management

文字サイズ
  • 標準
  • 拡大
ログイン
掲載情報をメールでお知らせします。
購読申込
HOME > 2013年7月-9月(No.6) > 特集 > “ワクワク・ドキドキ”を生む商品・サービス「廣川州伸氏」
特集 “ワクワク・ドキドキ”を生む商品・サービス

“ワクワク・ドキドキ”から生まれる商品・サービス

合資会社コンセプトデザイン研究所 代表
廣川 州伸 氏
 

“ワクワク・ドキドキ”は、ものづくりの原点ではないだろうか。

今ほどものが溢れていなかった時代、日本はゼロからものを生み出すことに全力を注いでいた。そこには常に新しい技術や発見があり、またそれ以上の失敗を繰り返しながらも、人々を“ワクワク・ドキドキ”とさせる、今までにない商品・サービスを提供しつづけてきた。この時代のものづくりがあったからこそ、今の日本のものづくりへとたどり着けたのではないだろうか。

今、日本発のヒット商品が少なくなってきていると言われているが、だからといって新しいものが生み出されていないわけではない。日本企業は技術力で勝負することに疲れたわけでも、グローバル市場で並み居るライバルを前に萎縮したわけでもない。ものづくりの現場は、常に顧客の期待に応えるために新しいことに果敢に挑戦し、そこに大きな壁があっても、地道な努力を惜しむことなく積み重ねてきた。今も昔もものづくりの裏側は変わってはいない。クオリティ維持だけではなく、新たな市場を開拓し、制覇することで社会に貢献しようというイノベーションへの強い意志もまたそうである。ただ、ものがあまりなかった時代と比べ、私たちの周りは非常に豊かになり、それに伴い顧客の目も肥えてきた。今の時代、ヒット商品を生みだしつづけるむずかしさは、さらに増したといえるだろう。

もちろん、ものづくりの厳しい裏側のプロセスは、顧客に届くことはない。現場で起きていることは、失敗の連続かもしれないが、次につながるヒントを探し出せるという意味で、失敗は「この手法ではうまくいかない」という発見でもある。根気よく可能性をつぶしていった先に、みえてくる光明。その体験の蓄積こそ、日本企業の強みであり、自分の技術が世界に通用するという確信につながったのではないだろうか。

今日、日本企業が直面しているのは、過去にあった技術の改善で何とかなる、見通しのいい市場ばかりではない。高度成長期には欧米企業という目標があったが、1990年代から日本の製造業は、欧米企業と肩を並べ、価値創造の最前線に躍り出ることとなった。グローバル社会において、世界最高の技術力をもつ日本のものづくりに求められているのは、誰も手がけたことがない新しい価値の創造である。世界のどこにもニーズとして顕在化していない、予兆でしかない微かな市場の声に気づき、耳を傾け、根気よく開発を進めていく現場の力である。

そこでもう1度、浮き足立つことなく、自らの強み、弱みを明確にするところからはじめるべきかもしれない。ものづくりの原点に立ち返り、グローバル市場で通用する感動品質を定義し、そこに向かって一丸となって進むことが求められている。

グローバル社会の生活者は、その商品に憧れ、感動し、ファンとなりたい、応援したいという気持ちが生まれてはじめて、そのブランドを認める。技術が優れているだけでは、いずれ代替商品が生まれ、市場の覇者は入れ替わっていく。そこで求められるのは生半可な技術力ではない。中途半端なクオリティではなく、他商品では決して実現できない差が明確な「品質力」であり、日々イノベーションを重ねて市場をリードする「革新力」である。

では、グローバル社会で通用する日本独自の技術とは何だろうか。それは成功している企業の現場に必ずやヒントがあるに違いない。以下、商品品質、感動品質、サービス品質の視点にイノベーションの視点も重ね、ヒット商品を生み出した企業が、どのような想いで開発に挑み、壁を乗り越え、新たな市場を開発するに至ったかを追ってみよう。そこにはどんな発見があり、製作者の想いがあったのか。

1つは、ユーザーに絶大な信頼と支持を集めるゴルフクラブのブランド『XXIO(ゼクシオ)』である。現在リリースしている『XXIO7』は、ユーザーの期待に応え「よく飛ぶ」「打ちやすい」「ミスがでにくい」との高い評価をえている。開発元のダンロップスポーツでは、常に新しい技術に挑戦しつづけ、クオリティの向上・維持を図りながら、ユーザーが求める感動品質を実現してきた。

1つは、世界市場でトップを歩むトヨタ自動車が、日本市場で展開しているスポーツカー『86(ハチロク)』である。日本では、若い世代のクルマ離れが課題となる中、各自動車メーカーはかつての若者が味わったクルマに対するドキドキ感を取り戻そうと、さまざまな取組みを行っている。「スポーツカーは売れない」という常識と向き合い、クルマ本来の楽しみ方をメーカー、ユーザーが一体となって展開して成功した『86(ハチロク)』において、開発担当者はどのような想いで取組んだのか。販売から1年後の今を聞いてみた。

そして最後は、エンタテインメント業界。この「クオリティマネジメント」ではこれまで接触する機会があまりなかった業界であるが、設立60周年を迎えた劇団四季は、『キャッツ』や『ライオンキング』など、感動を与えつづける作品のロングラン公演が多いことで知られている。時代が大きく変わっても、常に感動を生み出してきた劇団四季は、どのような考え方で感動品質をとらえているのだろうか。時代が急速に変わっていく中、変えてはいけないもの、逆に変えてきたものは何なのかをお伺いした。ものづくりに携わる皆さんにも、目からうろこが落ちるようなお話を紹介したい。

3回にわたってご紹介する“ワクワク・ドキドキ”が生み出す『品質魂』は、業種・業界を超え、すべての日本のものづくり企業の参考となるに違いない。

  <特集取材企業>
  ・ダンロップスポーツ 『XXIO(ゼクシオ)』
  ・トヨタ自動車 『86(ハチロク)』
  ・劇団四季 『劇団四季』

※画像クリックで拡大できます。 左からゴルフクラブ「XXIO(ゼクシオ)」、劇団四季の浜松町にある四季劇場、スポーツカー「86(ハチロク)」
左からゴルフクラブ「XXIO(ゼクシオ)」、劇団四季の浜松町にある四季劇場、スポーツカー「86(ハチロク)」

ここから先はログインID・パスワードをお持ちの読者様のみ閲覧ができます。

ログインID・パスワードをお持ちの方は、ログインしてください。

ログイン
購読申込

特集

全てを表示

年度別 INDEX

編集部だより Editorial department
読者の声 voice