クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2013年7月-9月(No.6) > 特集 > “ワクワク・ドキドキ”を生む商品・サービス「劇団四季」
特集 “ワクワク・ドキドキ”を生む商品・サービス

劇団四季の感動品質

劇団四季 取締役 広報宣伝担当 吉田智誉樹(よしだ ちよき)氏

(上)キャッツ<p>撮影:荒井健、(右下)ライオンキング<p>撮影:上原タカシ(C)Disney、(左下)オペラ座の怪人<p>撮影:堀勝志古(以下、写真提供:劇団四季)
(上)キャッツ 撮影:荒井健、
(右下)ライオンキング 撮影:上原タカシ(C)Disney、
(左下)オペラ座の怪人 撮影:堀勝志古
(以下、写真提供:劇団四季)

日本演劇界のリーディングカンパニーとして存在感を放ちつづける劇団四季が、本年創立60周年を迎えた。文字どおり日本全国に「演劇の感動」を届け、今や年間公演回数3,000回以上、動員数は実に300万人を超えるという。一体、このグループでは、どのような考えの下、感動品質のマネジメントが行われているのだろうか。さまざまな角度からお話をお伺いした。
(聞き手:廣川州伸)

劇団は、社会的存在である

――創立60年、ショービジネスの世界において「劇団」というかたちにこだわる理由は。

四季が「劇団」という形態を採りつづけるのは、「興行会社」のように利益を追求する企業ではなく、社会と寄り添い、貢献することを理念とする組織でありたいと考えるからです。この姿勢は、四季が60年前に創立されて以来、一貫しています。

創立当時の稽古風景
創立当時の稽古風景

劇団四季は、慶応義塾大学と東京大学の学生8名によって、終戦間もない1953年7月14日に創立されました。当時の演劇界には、戦時中に抑圧されていた左翼的イデオロギー(集団の観念)が跋扈(ばっこ)していました。これは、左翼に傾倒するインテリゲンチャ(知識人)が、とくに「演劇」という芸術を好んでいたためでもあります。ですから、上演される演目も社会主義リアリズムやイデオロギーの色が強いものが主流でした。つまり、純粋に演劇そのものを楽しむことより、演劇は1つのメディアとして、イデオロギーを伝えるための装置として機能していたのです。

一方、四季の創立メンバーである浅利慶太や日下武史は、その状況を憂いていました。ここには、彼らの慶応高校時代の恩師、劇作家 加藤道夫さんの存在が大きな影響を与えています。浅利たちにとって加藤さんは、まさに精神的支柱というべき存在でした。本来の輝きを失った当時の演劇界に絶望していた加藤さんは、まだ学生であった浅利や日下たちに「演劇は、本来『詩と幻想』の芸術」「演劇はイデオロギーを伝える道具ではなく、純粋な劇的感動を観客と分かち合うもの。演劇本来の姿を取り戻そう」と語りつづけました。その象徴的な存在として、フランス現代劇の作家、ジャン・ジロドゥ、ジャン・アヌイの作品の魅力を教え諭したのです。

加藤さんに薫陶(くんとう)を受けた学生たちは、数年後に劇団四季を結成しました。ジャン・アヌイ作『アルデール又は聖女』を旗揚げ公演として、演劇界の荒海に船出をしていくことになります。しかし左翼的なリアリズムが主流だった演劇界において、こうした理念を掲げる四季は、既存の劇団や先輩たちを批判し、刺激する存在となっていました。結果的に、演劇界の諸先輩からは激しく攻撃を受けるようになります。草創期の四季を支えた先輩方からは、苦難の連続だったという話を度々伺いました。

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