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HOME > 2015年10月-12月(No.15) > 特集 >「防災・減災対策 ―次世代につなげるために」(JOHNAN(株))

日本は地震大国といわれています。もっとも記憶に新しいのは、1995年の淡路・阪神大震災、そして2011年の東日本大震災です。それぞれ震災から20年、4年を迎えましたが、今なお、その記憶は色褪せることはありません。このような経験をした世代であるからこそ、この記憶を風化させず、次の世代につなげていくことが大切だと感じています。

今日まで、地震だけに留まらず防災・減災対策は行政やコミュニティの課題として大きく取り上げられてきました。近年では、企業においてもこのような大規模災害や大事故、サプライチェーンの途絶などによる「事業の中断・停止」を避けるための取組みや短時間で復旧させるための取組みが進みつつあります。この活動は「事業継続計画(BCP)」と称され、とくに2007年に発生した新潟中越沖地震以降、さまざまな企業で実施されてきています。

今回の特集では、2011年の東日本大震災に遭遇した中で、これまでの企業におけるBCPへの取組みで「良かったもの、課題となったもの」を振り返り、一方ではこの震災でえた新たな教訓から「次世代につなげるための防災・減災ノウハウ」を、企業の実際事例と合わせてご紹介したいと思います。

(編集部)

BCPはJOHNANの経営を支える主要な柱そのもの
不測の事態に対応できる「100年企業」をめざす

山本光世氏

JOHNAN株式会社

代表取締役 山本 光世 氏

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という。近年、たいていの薬局・薬店やドラッグストアでは花粉が著しく舞う時期やかぜの流行期にかぎらず、さまざまなマスクが売り場の一角を占めている。きっかけは、2009年に発生した新型インフルエンザであろう。その年の秋口以降、わが国でも久しぶりに猛威をふるい、各所でワクチン不足を引き起こした。流行の広がりにともなって、日本中のマスクが一斉に姿を消した。今日、ほぼ年間を通じてマスクが買えるのは、この時の「熱さ」が忘れられていない証(あか)しだろう。しかし、当時の騒ぎに先立つこと1年あまり前、JOHNAN(株)はすでに迫りくる新型インフルエンザを予見したとも思える手を密かに打っていた。その手こそBCP(事業継続計画)である。「BCPは経営の中軸」と言い切る山本光世代表取締役に導入の経緯や運用の要点などを聞いた。(聞き手・執筆:伊藤公一)

創業以来、製造支援ソリューションを提供

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JOHNAN本社(京都府宇治市)以下、資料提供JOHNAN(株)
※画像クリックで拡大できます。 写真
図1 JOHNAN(株)の事業亜領域

――御社は電機メーカーや自動車メーカーをはじめとして、さまざまな製造業に目を向けた「製造支援ソリューション」を提供していらっしゃいます。どのような経過でそこに行き着いたのですか。

山本氏(以下略):当社は祖父の山本松雄が1962年に創業したもので、私が4代目の代表を仰せつかっています。もともとは祖母の春子(名誉顧問)が頼まれて引き受けた内職からはじまりました。松下電子工業(現パナソニック)様の下請け会社に必要な電子部品のはんだ付けです。やがて手作業は機械化され、作業内容も実装からユニット製作に変わります。さらに、部品加工ばかりでなく、組立や検査、納品まで手がけるようになりました。

実績を重ねるにつれ、電機以外の業界からも声が掛かりはじめます。こうして当社は開発支援から、機器設計・製作支援、製造リソース支援、パッケージング・出荷支援、作業安全支援、環境保全支援へと、かかわる領域の幅を広げました。こうした姿勢をひとまとめにしたのが、モノづくり支援からモノづくり周辺支援までに目配りした「製造支援ソリューション」です。いわば、当社の事業の根幹ですね。当社クラスの規模で、ここまでの一貫体制を敷いているところは珍しいと思います。

――近年は、そのソリューションに事業継続支援が加わりましたね。

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誤解を恐れずに言えば、パナソニック様の製品には当社の仕事が多かれ少なかれ、なんらかの形で生かされています。製品によって濃淡はありますが、多くを任せていただいている仕事もあれば、他社とわけ合っている仕事もある。

ご存じのように、パナソニック様の製品列は幅広いので、1つの部門だけに捉われず、それぞれに対応しなければなりません。同様に、事業についても特定の業種にこだわらず、裾野を広げたいと思っています。その一環として2011年には関西セイキ工業(株)と資本・業務提携を結び、医療機器分野などにも参入しました。

幅広い分野に目を向けるのは、景気や需給の変動にともなうリスクを最低限に抑えるためでもあります。一方で、1つの会社の製品であれ、1つの業界の仕事であれ、災害や事故に遭遇して業務が中断を余儀なくされた時には、いち早く通常の状態に戻さなければなりません。そのためには、極力お客様に迷惑をかけない態勢を整えておくことが重要です。

そういう考えに立って、不測の事態が生じた場合でも特定された重要な業務を中断させず、仮に中断したとしても目標時間内に復旧させられるような手続きがBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)であり、それにもとづく経営手法がBCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)です。実際、2011年の東日本大震災以降、お客様からBCP策定を求められるケースも増えてきました。こうしたことに力を入れるのは、お客様から安心して事業を任せていただける「100年企業」をめざす当社のもっとも基本的な姿勢を明らかにするためでもあります。

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