クオリティマネジメント Quality Management

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HOME > 2016年04月-06月(No.17) > 特集 > “地域発”JAPANブランド「竹内 良造氏(福井県眼鏡工業組合)」

日本の各地には、世界に通じる品質を有する企業が数多く存在し、JAPANブランドの一翼を形成するとともに、地域経済にも大きく貢献している。そのような企業の多くは、地域が育んできた風土、文化、産業などを独自性や強みに活かし、インターネットと物流の進化を機として商域を拡大している。本特集では、上述のプロセスで成長を遂げている企業・組織に焦点をあて、世界品質を確保し、かつ競争優位にするための取組みを紹介したい。とくに、より大きく、多様なマーケットに適応するために、従来は個が有していた技術や暗黙知を、企業として、あるいはコミュニティ全体で形式知化(基準化、しくみ化など見える化)していく過程を紐解いていきたい。

今回は、福井県にスポットをあて、地域の特色が多様な事業へ結実していく側面にも触れ、このように地域発のブランドが、グローバル社会でさらなる輝きを放ち、地域活性化に貢献していく姿を探求するべく、企業・組織をご紹介したい。

(編集部)

2020年をメドに揺るぎなきブランド確立へ

福井県眼鏡工業組合 前理事長

竹内光学工業株式会社 社長 竹内 良造氏

眼鏡、繊維、漆器は福井県の三大産業といわれる。中でも、眼鏡産業は関連業者の集積度の高さで他に類をみない。雪深い福井県の農閑期対策としてもたらされた眼鏡製造は鯖江、福井の両市に根を下ろし、今日に至るまで百余年の時を刻む。工業統計における製造・出荷ベースの占有率は96.6%(2013年)。押しも押されもせぬ、わが国を代表する眼鏡産地である。その特徴を一言で表すなら「分業体制の妙」であろう。関わる業者の多さと製品品質の維持の折り合いをどうつけているのか。一世紀の歴史を数える眼鏡産業は、今後どのような道筋をめざすのか。福井県眼鏡工業組合の竹内良造理事長(取材当時)に「眼鏡の聖地」を率いる立場から取組みの一端を聞いた。

(聞き手、執筆:伊藤 公一)
※所属・役職は取材当時のもの

地域全体が株式会社のような分業体制

――占有率が96.6%ということは眼鏡着用者100人の97人近くが当地の製品をかけているということですね。

竹内氏(以下略):であれば誠に嬉しいのですが、そうは問屋が卸しません。96.6%は、あくまでも製造・出荷からみた比率であって、販売比率ではありません。市場に流通している製品のうち国産品は20%ほどで、あとは安価な海外製品です。もちろん、国産イコール福井産ですから、その地位が揺らぐことはありませんが。

――非常に高い占有率は、そのまま地場産業としての従事者の多さを示していると思うのですが。

現在の組合員数は194社です。このうちの80%は鯖江市内の業者。鯖江市在住の成人の7人に1人が、なんらかの形で眼鏡産業に携っているという勘定になります。正式な組合員数は200社を切りますが、組合に加盟していない業者を加えると、鯖江だけでもざっと500社におよびます。いかに業界の裾野が広いかということですね。たいていは夫婦で加工の一部に従事しているような、小規模の事業者です。これが、そのまま産地の特性になっている。それほど分業化が進んでいるということです。

――当地の産地形態は「福井県眼鏡株式会社」「鯖江眼鏡株式会社」などと、たとえられることがありますね。

なぜ、分業化が進んだかということの裏返しですが、眼鏡の製造は一般的にメタルフレームで300工程、セルフレームで100工程ほどを要します。しかし、すべての工程を単独で行っている会社は一つもありません。そこで、各工程の専門化が進み、結果的に分業体制の整った産地基盤ができたというわけです。だから、地域全体として一つの会社のような機能をもっているのです。いわば、眼鏡産業の一大集合体ですね。

簡単にいうと、一つの眼鏡が世に出るためには枠(フレーム)メーカーを起点として、「デザイン」⇒「金型」⇒「部品」⇒「ロー付け」⇒「組み立て」⇒「研磨」⇒「仕上げ」という大きな循環を形作ります。一連の流れを支えるのが、分業化した専門業者です。枠メーカーは素材、パーツ、レンズなどの会社とも関わります。

それらが互いに密接に連携するので、情報交流も調達も円滑に行われるというわけです。かつて、他の地方に進出を試みた業者がありましたが、結局、戻ってきました。当地のような連携の仕組みがなかったからです。

――分業体制が整っている中で、一社あたりの内製化率はどれくらいになるのでしょうか。

製品まで手がける枠メーカーは、組合員194社のうち40社ほど。このうち、もっとも高いところで80%というところでしょう。ちなみに、私が社長を務める竹内工学工業(株)は65%です。残りの35%は調達先であったり、後加工の業者であったりします。

先ほどもお話したように、福井県の眼鏡産業は産地として一つの集合体を形成しているので、自動車産業に見られるような系列化はありません。どの枠メーカーとも分け隔てなく、柔軟に対応しています。かつて、レンズメーカーが主導していた時代もありましたが、現在は眼鏡にかぎらず、消費者志向の製品開発が重視されるので、影響力は薄れていると思います。

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